【2010年8月14日】
一昨日の小田急、三省堂書店夏の大市で、かなり迷った挙句に買わなかった『ドキュメント猥色文化』高野博写真集(浜書房)1000円を、やっぱり買うことにしたのは、古い目録を何気なく見返していたら、同書が8400円という高値で出品されているのを発見してしまったからだ。単純というのか不純というべきか、相変わらず金額に惑乱する。
小田急百貨店で目的を達したあとは西武池袋本店のリブロ池袋本店夏の古本まつりへ行き、『新東京文学散歩続篇』野田宇太郎(角川文庫)105円、『恋のヤブ医者』日吉早苗(東成社)1050円、『ドクトル千一夜』吉田機司(美和書院)105円、『旅と味』戸塚文子(創元社)315円、『蘭童作家観』福田蘭童(近代社)550円。
新宿から特別快速で一気に西進して、立川フロム中武の恒例古書市。
『露天風呂の旅』市川潔(大陸書房)160円、『阿呆宮一千一夜』乾信一郎(東方新書)210円、『俳句入門』高浜虚子(誠文堂十銭文庫)420円、『青春天気図』高村暢児(河出新書)105円、『世界の漫画あぷれ・にっぽん』須山計一(アソカ書房)1050円。
駅南側の明誠書房を久しぶりに訪れて『花物語』牧野富太郎(ちくま学芸文庫)500円。
【2023年1月追記】
見つけたときに買う。これは古本の鉄則です。
ほとんどの古本は1点のみの出品ですから、そのときに買っておかないと、次に同じ本と巡り合えるかどうか、保証はありません。
たしかにそのとおりなのですが、そうだからと言って、目についた本をあれもこれも片っ端から買い込むというわけにもゆきません。
まず値段が重要です。ずっと探し求めていた本であれば、多少値が張っていても気合いが入りますが、その場で初めて目にした本となると、なかなか思い切った決断はできません。
手の届かないような高値であれば、むしろ諦めがつくでしょう。
買えないほどの値段ではない。さらにその本が「欲しい」と「欲しくない」の中間を行ったり来たりするような場合、こうなるとだんだん難しくなってきます。
買う、買わない、買う、買わない……、しばし逡巡。
たとえ100円均一の本であっても同じです。
その日の懐具合、体調、気分など、身辺の状況も左右するでしょう。
さんざん迷った末に購入を見送ることはよくあります。
それで、帰ってきたあとになって、やっぱり買っておけばよかった、となり、いちど気になると頭の中はそのことで一杯になり、改めて出直すということになります。
うまく売れ残っていれば問題は解決ですが、次に訪れたときにはすでに売れていて、その場で茫然としたことは今まで一度や二度ではありません。今更のように、見つけたときに買うという鉄則を嚙みしめても、もう遅いのです。
即売展や古本まつりは期間が決まっていますし、毎日毎日訪れるわけにも参りませんから、買えるときに買ってしまったほうが、結局はすっきりするようです。
しかしまた、いちど買い逃した本と、しばらくのちに再び遭遇することも、一度や二度ではありません。値段も以前より安かったりして、そんな結果オーライに味を占めると、やがて同じことを繰り返す。いつまで経っても変わりません。
鉄則は鉄則として、その本といつどこでどのような巡り合わせをするのか、こればっかりは運命に身を委ねるよりほかになさそうです。
古本屋さんの場合ですと、同じ棚の同じ位置に同じ本がいつまでも売れ残っているということがあります。そうなってくると、もうほとんど自分の本です。必要になったら取りに来ればよいと、自分の書棚の一部のように思えてきますが、もちろんそれは錯覚です。
いずれにしましても、この日のように、金額に踊らされて右往左往するのは好ましい例とは言えず、推奨できません。
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参照
小田急百貨店「三省堂書店夏の大市」
→【2010年8月12日/2023年1月追記】東急百貨店の渋谷大古本市と小田急百貨店の夏の大市
西武池袋本店「リブロ池袋本店夏の古本まつり」
→【2010年2月16日/2022年12月追記】リブロ池袋本店春の古本まつりから、中野ブロードウェイなど
立川フロム中武「恒例古書市」
→【2010年1月7日/2022年11月追記】立川フロム中武、恒例古書市で年明け
また西武池袋やフロム中武を含めた東京の古本まつりにつきましては、以下の記事も合わせてご参照ください。
→【古本まつり】かけあしガイド(東京)