【2010年8月28日】
高円寺、好書会。
西部古書会館は屋内の床板が改装されて、靴のまま上がれるようになっていた。
『女の流行』中野実(春陽文庫)100円、『大福引附名著特売目録』(誠文堂新光社)400円、『美味はわが家に』本山荻舟(住吉書店)300円、『はじっこ人生―駅長秘め話』剣持銈太郎(弘文堂フロンティア・ブックス)300円、小物を4点。
高円寺の町は夕方からの阿波踊りを控えて、ざわざわと漲っている。
踊りもしない見物もしない古本の阿呆は、都丸支店の店頭棚を眺めると、人ごみを避けてすぐに中野ブロードウェイへ移動。
『定本不条理日記』吾妻ひでお(太田出版)315円。3階のまんだらけで久しぶりにマンガを買う。
4階のまんだらけでは『ぎりしあの詩人たち』呉茂一(筑摩書房)525円。
荻窪に移って竹陽書房を簡単に覗き、ささま書店の店頭棚から新書判を2冊。『おなか随筆』竹村文祥(河出新書)、『なごり妻』武野藤介(あまとりあ社)、各105円。
さらに西荻窪に寄道して盛林堂書房の店頭から『巴里芸術家放浪記』フランシス・カルコ(近代文庫)100円。創芸社の近代文庫、初めて見る文庫だ。ダンテで珈琲を飲む。
【2023年1月追記】
この日までの西部古書会館は土足では入れませんでした。
室内へ入る際には、会場で用意してあるスリッパに履き替えます。
靴箱はありませんでしたので、脱いだ靴はそのまま脱ぎっぱなしです。
即売展初日の朝一番になると、上がり口の縁石のまわりには靴、靴、靴が散乱して、独特の光景を見せていました。
ほとんどが黒い紳士靴であったことなど、客層を示します。
向きを変えて、きちんと揃えてから会場へ入るお客さんは皆無だったのではないかと思います。
頭の中が古本で一杯になっていますから、足元まで注意が及ばないのは已むを得ません。
右の靴と左の靴がぜんぜん違う場所に転がっていたりすると、帰りはうまく組み合わせられるだろうかと、余計な心配をしてしまいます。
間違って、他人の靴を履いて帰ってしまうことはないのだろうか。
幸い、私は自分の靴が行方不明になった経験はありませんし、「靴の片方がない!」と苦情を申し立てているお客さんも見かけたことはありません。
傘ならともかく、靴はないだろうとは思いますけれど、それまでの西部古書会館の長い歴史のなかでは、そんな靴難がまったくなかったとはかぎりません。
さて帰ろうとして、自分の靴が見当たらなかったら、びっくりします。
家の玄関で見ず知らずの靴を履いてきたことに気づいたら、それもびっくりするでしょう。
東京の古書会館では、南千住の東部古書会館が、同様に靴を脱いで会場に入るようになっていましたが、恰度この日の1か月前、2010年7月に最後の即売展を開催し、8月末に閉館となってしまいました。
東部古書会館は、玄関に靴箱がありました。