【2011年1月15日/2023年3月追記】連日の愛書会

【2011年1月15日】
東京古書会館、連日の愛書会。
昨日の愛書会では永島慎二『漫画家残酷物語』全4冊(小学館文庫)420円のみを買ったのだが、先週の高円寺展では2日目にもまあまあの買物ができたから、ひょっとするとまた泥鰌がいるのではないかと、2日目の会場へ出向いてみた。
山本光雄『ソクラテスの死』(角川新書)150円を手にとり、やっぱり、そう易々と泥鰌は現われてくれないようだが、マヤコフスキー『私のアメリカ発見』(和光社)300円は、昨日は気づかなかった1冊だ。この紀行文は飯塚書店版の『マヤコフスキー選集』には収録されていなかったように思う。
昭和16年刊、摂津茂和『横顔の提督』は、2000円という売価にかなり迷って、迷った末に見送った。
表紙がだいぶ汚れていることが見送る要因のひとつでもあったのだが、それにしても装幀は山名文夫だったのだ。

マヤコフスキー「私のアメリカ発見」表紙
『私のアメリカ発見』マヤコフスキー/鹿島保夫訳
(和光社=現代選書/1955)

三省堂書店の店頭古書市を眺めていると、小川町のほうから何やらパレードがやってきた。軽トラックの荷台に巨大な雪だるまが載っていて、続いて明治大学のブラスバンドとチアガール、また軽トラックに雪だるま、今度は東京大学のブラスバンドとチアガール。
不思議なパレードだが、パトカーがきちんと先導していて、駿河台下交差点に配置された警官が青信号を調節したり、笛をピリピリ吹き鳴らしたり。
雪だるまよりは古本のほうが大事だからパレードには背を向ける恰好になるが、チアガールが通過するときは身体がそちらへ反転してしまう。
小宮山書店のガレージセールで『随筆さぬきうどん』山田竹系(四国郷土研究会)100円購入。
ミロンガでひと休みして、もういちどガレージセールを覗き、F・ブラウン『宇宙の一匹狼』(創元推理文庫)100円。田村書店の店頭で『アントナン・アルトー全集』第1巻(現代思潮社)、1000円。

山田竹系「随筆さぬきうどん」表紙
『随筆さぬきうどん』山田竹系(四国郷土研究会/1972)

【2023年3月追記】古書即売展の初日と2日目
古書会館で行なわれる即売展のほとんどは2日間の開催です。
いちばんたくさん本が並んでいるのは当然初日の朝一番ということになりますから、早ければ早いほど、収穫に恵まれる確率は高まるでしょう。
初日朝一番に駈けつける常連客が多いのは頷けますし、またそれら敏腕家たちの手によって、良書珍本は開場早々に捌けてゆくという様相です。
2日目の午後などに訪れると、棚の所々には隙間が目立つようになってきて、いったいここにはどんな本が輝いていたのかと、並んでいる本よりも隙間のほうが気になるという、おかしなことにもなってきます。
しかし、初日の朝の混雑の中では、なかなか思い通りには本を探せません。
人と人とのあいだを縫うように進み、前に立つ人の肩越しに棚を覗きこんでみたり、気ばかりが焦り、眼は泳ぎます。
せっかく本はたくさんありながら、見落とすことも多いようです。
2日目の会場はだいぶのんびりしてきますし、人波にひるむことなく書棚と向き合えます。
初日、2日目と、連日で即売展を訪れてみると、昨日はまったく気づかなかった本に出くわすことはよくあります。
紙モノと呼ばれる絵葉書やチラシや資料類などは特に、周囲を気にせず、じっくり時間を掛けて探したほうが好発見につながるようです。
時には、2日目に補充されることもありますから、思いがけない本を悠々と得るなんていうこともあるかもしれません。
初日朝一番の新鮮な棚には抗い難い魅力がありますが、2日目の閉場間際の棚から、誰もが見逃していた珍本を探り当てたとしたら、それはまた無上の醍醐味となるでしょう。腕の見せどころです。
いずれにしても、何が有るのか無いのか、行ってみなければ分からないのが古書即売展。
出来ることならば初日も2日目も訪れたいものですが、体力、時間、電車賃、いろいろと限りがあります。
いっそのこと古書会館で暮らしたい。しかし古書会館では間貸しを行なっていませんので、残念ながらその夢は叶いそうにありません。