【2011年5月20日】
地下鉄神保町駅の改札脇の小箱の中に遅延証明書が入っていた。
それを貰ったからと言って何の使い道もないのだが、せっかく神保町駅の駅長が証明してくれているのだから、記念に1枚貰う。
東京古書会館、趣味展。
『新聞漫歩』高岡幸雄(六月社)100円
『鳥の巣と卵』石澤健夫/下村兼二(アルス科学写真叢書)300円
『貝類の奇習』平瀬信太郎(木村書店コンサイス科学叢書)300円
購入3冊。今日は扶桑書房で何も見つけられず。
田村書店の100円均一段ボール箱をごそごそやっていると、右側の平台に店員さんが文庫本を補充した様子なので口をパクパクさせて接近する。池の鯉だ。ちくま学芸文庫『益田勝実の仕事』第1巻から4巻までの4冊があったので見境なく呑み込む。『1説話文学と絵巻』『2火山列島の思想』『3記紀歌謡』『4秘儀の島』、1冊400円。
段ボール箱からは『続・吉原幸子詩集』(思潮社現代詩文庫)100円。
小宮山書店のガレージでは福田清人『秋の目玉』(講談社文庫)100円。
ミロンガで小憩。入店して右側、喫煙できる部屋はお昼時ということもあって賑わっていたのだが、そのうち誰もいなくなって私と煙とが取り残される。
来週の五反田遊古会の目録(さっき古書会館で貰った)には、岩佐東一郎『茶烟亭燈逸伝』3000円、誠文堂十銭文庫『京阪神盛り場風景』3000円、同『京阪食べある記』2000円、『女のシリ・シンフォニー』2000円、と気になる書目が続出して、うひゃあ、とのけぞる。
三省堂古書館では中村宏『呪物記』2500円に逡巡する。大阪のジグソーハウスという古書店の出品なのだが、その他にも林二九太『へのへのもへじ』3000円、龍胆寺雄『虹をつくる男』4800円など、魅力的な品揃え。しかしその分、値段もしっかりしており、この棚は却って目の毒なのだ。
『呪物記』も、そのうち即売展で見つければ1500円くらいでは、と見苦しい胸算用をして、見送る。
magnifではムナーリ『ナンセンスの機械』が12000円。これは無理だが、雑誌『アイデア』320号は惜しかった。その次の321号〈ヤン・チヒョルト特集〉を探しているのだ。
山陽堂書店の店頭で『ボクのマンスリー・ショック』荒川洋治(新潮文庫)100円。これが今日の「臍の1冊」ということになるのだろうか。あるいは案外と神保町駅の遅延証明書が「臍」だった?
【2023年3月追記】臍の1冊
その日に買った幾冊かの古本のなかには「臍の1冊」と呼びたくなるような1冊があります。
ずっと探していた本であったり、或いは、こんな本があったのかと感心するような未知の本であったり、何かこう、胸の(お腹の?)まんなかにぴたりと命中するような1冊です。
その日の気分や体調によって命中率は変動しますけれど、この1冊を得たとなると、足取りは断然軽くなります。
ときには、3冊4冊と、臍の1冊に成り得る本が続出して興奮冷めやらぬ事態になることがありますし、いくら歩いても臍を見出せず、捉えどころのないまま帰路に就くこともあります。
◇
この日歩いた即売展とお店について。
東京古書会館の「趣味展」→現在も継続して開催しています(年6回)。
「田村書店」→現在も営業。ただし、営業日が縮小されています(営業は金・土・日および祭日)。
「小宮山書店ガレージセール」→以前は毎週末に開催していたのですが、ここ何年かのあいだにだいぶ回数が少なくなったようです。最近、神保町を訪れる機会が減ってしまったので現況については把握しておりません。
「三省堂古書館」→2022年5月8日で閉店となりました。
「magnif(マグニフ)」→現在も営業。すずらん通りにあります。
「山陽堂書店」→2020年(日時不詳)に閉店となりました。
〈関連日記〉
田村書店
→【2010年12月3日/2023年2月追記】田村書店にて『左川ちか全詩集』
小宮山書店
→【2010年7月16日/2023年1月追記】東京古書会館の趣味展と真夏のガレージセール