【2012年12月2日/2025年5月追記】西国立のブックセンターいとう

【2012年12月2日】
電車の中で『夢声の動物記』読み始める。軽妙な語り口に、冒頭から惹き込まれる。
肉声はもちろん、録音されたものでも、徳川夢声の声を聞いたことはないけれど、文章を読んでいるといつも、知らないはずの夢声翁の声が朗々と響く。
午後、久しぶりに西国立のブックセンターいとう立川羽衣店へ。
『駅スタンプの旅SL編』松井信幸(枻文庫/2004)300円をまず手にとり、それから岩波、ちくま、カラーブックス、中公、その他と文庫本の棚を巡る。
児童書の棚で『木馬のぼうけん旅行』アーシュラ・ウィリアムズ(福音館文庫/2003)200円。
文庫に戻って創元推理、ハヤカワ。ここで『パリ吸血鬼』クロード・クロッツ(ハヤカワ文庫/昭58)150円。
作家別の小説をザッと辿って、ライトノベル。
2階に上がり、戦前の古書を集めた棚の存在は大型チェーン店では珍しい。訪れるたびに期待しながら接近するのだが、棚の存在は珍しくてもそう易々と珍しい本が存在するわけではないのは仕方ない。
エッセイ、料理、新書判、みすず、自然科学、文学、美術、おおよその順路に沿って1周。
どこの古本屋でも、幾度か通うようになると、いつのまにか自分なりの棚巡りの順路が出来上がる。
時々、気分を変えて反対廻りに廻ることもある。
今日は2階からの購入なし。
1階に降りて、順路の最後は官能部屋ということになるのだが、『猥褻図書館魅惑の美人司書』橘真児(グリーンドア文庫/2000)300円、『お嬢様官能小説家・渡戸笑』千夜詠(二次元ドリーム文庫/2012)350円。渡戸笑は「わたしどえむ」と読むらしい。
図書館はあるけれども、古本屋が舞台の官能小説はまだお目にかからない。

【2025年5月追記】ブックセンターいとう立川羽衣店
「ブックセンターいとう立川羽衣店」は2018年2月28日に閉店しています。
立川から南武線に乗って次の駅が西国立。
立川からも歩ける距離ですし、駅は立川市にあります。
西国立というよりは東立川という感じです。
立川から青梅線に乗ると次は西立川。
頭の中で一旦整理しないと、西国立と西立川はいつも混線します。
その西国立から5分ほど歩くとブックセンターいとう立川羽衣店がありました。
羽衣町にあるから羽衣店です。
倉庫を改装したような大きな店舗でした。
1階には文庫本、児童書、マンガ、官能。
作家別、分野別、出版社別などさまざまに仕分けされた文庫棚は、端からじっくり見てゆくと小一時間くらいはすぐに過ぎてしまいます。
2階は単行本と雑誌。
背の高い書棚が整然と林立しており、図書館のような雰囲気です。実際、小さな町の図書館をしのぐほどの蔵書量だったのではないかと思います。
階段を登って左手、絶版久しい本を取り揃えた古書棚は見ものでした。戦前の出版物も多く、その棚だけは一段と色合いがくすんでいました。
残念ながらそこから掘出し物を収穫したことはありませんでしたが、近づくときはいつも、大発見の期待を高めてくれる棚でした。
閉店していた、と友人から聞いたのはいつ頃だったのか、とにかく閉店からだいぶ過ぎてからのことで、おどろいたりあわてたりしても、もうどうにもなりません。
古本が無くなってしまえば用事も無く、あの大きな倉庫が今はどうなっているのかは知りません。

〈関連日記〉
*ブックセンターいとう
【2012年6月4日/2024年1月追記】京王線、分倍河原から府中へ