【2012年6月4日/2024年1月追記】京王線、分倍河原から府中へ

【2012年6月4日】
午後、京王線の分倍河原ぶばいがわらから府中へと古本散歩。
先ずブックスーパーいとう分倍駅前店。
2階の漫画部屋で立読みをする制服姿の眼鏡少女は、洟をすすり、ときおり咳込んでいる。
冷房の効いた部屋で夏風邪をこじらせねばよいが、と余計な心配をしつつ、しかし風邪の原因が古本の立読みだとしたら、これはなかなか立派なものだ。
購入ナシで、次はブックオフMINANO分倍河原店。
先日、朝日新聞夕刊のライトノベル紹介記事に、富士見ミステリー文庫の刊行が現在は中断していると書いてあった。
やがて絶版にでもなると、いよいよライトノベルにも古書価が付くようになるのかどうか。
富士見ミステリー文庫といえば、小林めぐみ『食卓にビールを』は買ったことがあるけれど、それでライトノベルの棚を見分してみると、なるほど、他社の文庫に較べて富士見文庫は品薄だ。
たまたまここはそうだったのかもしれないし、ここを見ただけでは何とも言えない。
そのまま棚を辿れば、隅のほうには官能小説がさりげなく紛れ込んでいる。
ブックオフは官能小説を特別に囲ったりはしないらしく、一般の文庫と同じ扱いで販売しているようだ。他の店舗でも、たしかそんなふうだった。
ここも購入ナシで、次は府中本町駅の近くのブックスーパーいとう府中店。
建物のあった場所が更地になっていた。
建築工事の告知板と一緒に、ブックスーパーの貼紙も掲げてあって、1月末に閉店したそうだ。
そこにあった古本が、そこから消え失せるということは、たとえ欲しい本が1冊もなくても、どこに視点を合わせてよいのか、なにやら筒抜けだ。
府中駅の北口に移動して、夢の絵本堂を訪れる。
ジェイムズ・サーバー作・画『現代イソップ』、こんな本もあったのだなと、棚の前に立って初めて知る。
昭和25年、万有社、福田恆存訳。2000円。今日はこれを買って帰ろう。
何か1冊古本を買えば一日は明るむ。お店を出れば、湿気を含んだ南風も、さっきより明るい。

ジェイムズ・サーバー「現代イソップ」表紙
『現代イソップ』ジェイムズ・サーバー作・画
(万有社/昭和25)

【2024年1月追記】ブックセンターいとう
「ブックスーパーいとう分倍駅前店」は2018年6月、「ブックスーパーいとう府中店」は2012年1月に、閉店しています。
ブックセンターとブックスーパーを合わせて、多摩地域を中心に数多くの店舗を展開してきた「いとうグループ」ですが、この10年ほどのあいだは衰勢一途のようです。
殊に2023年からは撤退が相次いでいます。
2023年3月「国分寺店」、8月「東中野本店」、10月「元八王子店」。
さらに年明け、2024年1月14日には「立川西砂店」が閉店。
残る店舗は遂に「日野店」1店舗のみとなります。
東中野本店の所在地は、中野区ではなく八王子市(八王子市東中野533)です。最寄駅は多摩モノレールの大塚・帝京大学駅。
八王子に東中野という地名があることは、ブックセンターいとうの存在によって知ったのですが、野猿街道沿いの巨大店舗は、いかにも本拠地と呼ぶにふさわしい、堂々たる古本王国でした。
その東中野本店が閉店してしまったわけですから、一時代の終焉を感じないわけにはゆきません。

部屋の隅から、いとうグループの昔の紙袋が出てきました。
使用していた年代は特定できませんが、おそらく2010年前後の物ではないかと思います。
袋の裏面に記された加盟店一覧を見ると、ブックセンターいとうが16店舗。ブックスーパーいとうが8店舗。計24店舗が載っています。
そんなにあったのかと、改めて感慨を覚えます。
墓碑銘というわけではないのですけれど、掲載店舗を書き記してみます。

【ブックセンターいとう】
東中野本店、豊田店、立川西砂店、秋津店、小金井店、桜ヶ丘店、日野店(現存)、元八王子店、星が丘店、国分寺店、立川羽衣店、東大和店、恋ヶ窪店、青梅店、昭島店、福生店。

【ブックスーパーいとう】
矢野口本店、宮前平店、平間店、府中店、中野島店、分倍駅前店、高津店、東八野崎店。

以上の24店舗ですが、この他、西荻窪の中央線の高架下にもブックスーパーいとう西荻窪店があったことを思い出します。
最盛期にはこれ以外にもまだ支店があったはずです。
なお、紙袋にはその他の加盟店として「田中書房」(八王子市楢原町)、「佐伯書店」(多摩市永山)、2軒の記載があります。
両店ともに現在も営業しています。但し佐伯書店の店舗販売は2022年8月末で終了しており、現在はインターネット販売および店頭買取のみ行なっています。

ブックセンターとブックスーパーの違いはどこにあるのか。
たしか御兄弟が別々に経営していたのではなかったかと、ぼんやり聞きかじっておりますが、詳しいところは定かではありません。
分布を見ると、ブックセンターは主に中央線青梅線沿線、ブックスーパーはほぼ南武線沿線に集まっています(東八野崎店は三鷹、また上述の西荻窪店もあり)。
のちに、ブックスーパー全店はブックセンターに統一されました。いつ頃のことだったのか、これも把握できておりません。
そういえば、ブックスーパーの矢野口本店はもともとは南多摩駅の近くにあった店舗(たしか大丸店)が移転して矢野口本店になった……など、ひとつ店舗を思い出すと、そこから今まで眠っていた別の記憶が呼び起こされます。
ブックオフ1号店(相模原・千代田店)の開店は1990年ですが、それ以前、あるいはまだ店舗数が少なかった時代、大きくて整然と書棚が林立する古本屋は物珍しく、ブックセンターいとうには、何かと言うと入り浸っていました。
うっかり回想が始まると、取りとめがなくなります。
すべてが終わったわけではありませんから、過去ばかりを振り返るのはまだ早いというものです。
最後まで残った唯一の店舗も、じつはここ数年は御無沙汰している始末なのですが、ブックセンターいとう日野店、久しぶりに訪れてみたくなるわけです。

【2024年3月追記】ブックセンターいとう日野店閉店
最後に残った「日野店」ですが、2024年2月29日をもって閉店となりました。
油断して過ごし、閉店を知らないまま、久しぶりの再訪は叶わずに終わりました。痛恨です。
ただし、これでブックセンターいとうの全てが終わったわけではなさそうで、同店ホームページによりますと、4月中旬を目処に新しいお店が開店するとのことです(2024年3月20日現在)。
過ぎ去った日野店への未練はふりほどいて、新たな展開に期待しなければなりません。
(参照*〈ブックセンターいとう〉ホームページ)

【2024年5月追記】ブックセンターいとう新店舗は果たして?
上述のとおり新店舗への期待が高まっていたのですが、5月になって同店ホームページを確認したところ、トップページにそれまで載っていた「4月中旬を目処に新しいお店が開店……」の文言が削除されていました。
これはいったいどういう事情なのか、準備に時間が掛かって開店の時期がずれこんでいるのであれば、少々遅くなるくらいはいくらでも待ちますが、折角の明るい話題が沙汰止みになっていないことを祈るばかりです。
(参照*〈ブックセンターいとう〉ホームページ/2024年5月10日閲覧)