雨の日の古書即売展

東京古書会館

古書即売展の会場は屋内ですから、天候に左右される心配はありません。
もちろん雨降りでも開催します。
まれに台風に見舞われて中止になることもありますが、そう滅多にはないでしょう。

せっかく古本散歩に出かけるならば、晴れているほうが気分はよいのですけれど……。
古書即売展は日程が決まっていますので、なかなか思うとおりにはゆきません。
先々週は雨、先週も雨、今週もまた雨だ。
どうしてか即売展の会期と雨降りの周期が重なって、空が恨めしくなるときもあります。

しかし、古本を愛し、ひとたび即売展のとりこになった人たちにとって、空模様はひとまず論外です。
雨が降っても雪が降っても他にいろいろなものが降ってきたとしても、電車やバスが動いていて、その先に古本があるならば、ものともしません。
何はなくとも駆けつけます。

ただやはり、天気に恵まれない日の即売展は、お客さんの数自体は少なくなるようです。
周囲に気兼ねなく、ゆっくり本を探すということであれば、雨の日はかえって好日ということになるのかもしれません。

西部古書会館
西部古書会館

東京古書会館の1階ロビーには鍵付きの傘立ても備えてありますが、それだけでは間に合わないと見えて、さらに別の傘立てや、時には大きなポリバケツが代用で置いてあることもあります。

即売展のお客さんの傘は、透明のビニール傘か、黒か紺の蝙蝠傘が多いです。
客層が多分に反映しているのでしょう。
東京会館では、他の人の傘と間違えないように、輪ゴムのついた名札と、ペンを用意してくれています。
名前を書いて、傘の柄にくくりつけておけば、取り違える心配もないというわけです。

ちょっと面倒かもしれませんが、この名札はつけておいたほうがよさそうです。
たとえば私のように、たぶん大丈夫だろうと横着してそのまま適当に置いておくと、誰かが間違えて持って行ってしまうこともあるからです。
その日は朝から雨降りでしたから、皆さん傘は持っているはずですし、他人の傘を適当に失敬したというわけではないようです。
頭の中が古本のことで一杯になっているのであれば、やむを得ないのかもしれません。
大切なのは傘よりも古本ですから。
どれが自分の傘で、どれが他人の傘なのか。
形状とか色合いとか、そういう細かい所までは気が回らないのではないか、と。
似たような傘が混雑しているとなると、なおさらです。

西部古書会館や南部古書会館では、名札の用意がありませんので、十分にお気をつけください。
お客さんの数が少ない時ならば、そこまで疑心をいだく必要はないでしょうけれど、念のため、自分の傘には何か目印をつけておくとよいかもしれません。
私は東京会館でもらった名札を、そのまま使っております。あれは便利です。

西部会館と南部会館にはガレージ会場がありますが、濡れた傘は持ち込まないようにしてください。
書物にとって、水気は天敵です。
まず傘立てに傘を置いてから、本を探します。

南部古書会館
南部古書会館

南部会館の1階ガレージでは、ガレージをはみ出して、路上にも平台が並びます。
途中から雨が降ってきたりすると、路上の台にはブルーシートがかぶせられてしまいます。
その中を見ることはできませんから、中が見えないとなると、そこにはものすごく面白い本が隠れているのじゃないかと思えてなりません。
困った心理です。

さて、東京古書会館の即売展を見終わったあとは、神保町古書店街をぶらぶらするのがいつもの順路ですが、雨の日は、たいていの古本屋では店頭にある均一棚はお休みになってしまいます。
そんな日は、どこか初めての町まで足を延ばして、初めての本屋さんや古本屋さんを探訪するのもよいでしょう。

それとも、吉祥寺のいせや総本店とか、昼からやっている居酒屋へ行って、ぼんやり雨を眺めるのもわるくありません。

なお、古書会館の即売展については以下の記事をご参照ください。
古書会館の古書即売展7つの魅力