【2012年12月28日】
三鷹の上々堂で『網のなか』アイリス・マードック(白水社=新しい世界の文学/昭和40)105円と『幽霊の2/3』ヘレン・マクロイ(創元推理文庫/2009)430円を買ったあとは、中央線、武蔵野線、南武線と乗り継いで武蔵溝ノ口まで恰度1時間。
明誠書房を巡回して買物ナシ。雨が降り始める。
ドン・キホーテで缶ビールと缶チューハイなど仕入れて、もう少し寄道。ブックセンターいとう高津店、買物ナシ。
時間となったのでUS邸を訪れるが呼び鈴に応答ナシ。ホームグラウンド(=パチンコ屋)に出掛けているのだろうと、店内を覗いてみるが姿ナシ。
自宅の電話も携帯電話も応答ナシ。
ナシ、ナシ、ナシ。路頭に迷う。
もうひとつの明誠、綿屋明誠堂は入口に鍵をかけて外出中。
雨は冷たいし、買い込んだ缶ビールは重たい。冴えない。
折角だから西口商店街の、明誠書房の隣りの立呑みを試みることにする。
玉井酒場というのだが、おでんは最初の三品までは50円均一という太っ腹。
大根、玉子、牛すじ。
味の染みた飴色の大根が胃の腑を燃やすとなると、たまには路頭に迷うのも悪くないなー。
キンミヤ焼酎のホッピーを流し込み、焼き鳥の焼き上がりを待っていると、後ろから声を掛けられて、US君とOS君だった。
US君はやっぱりいつもの場所で一仕事励んでいたらしいのだが気づかなかった。私が彷徨しているあいだに二人は滞りなく合流。古本屋か酒場だろうと見当をつけて探しに来てくれたそうだ。
言われてみれば古本屋と酒場のほかに行く場所はないように思える。
【2012年12月31日】
大晦日の午後、ふらふらと出歩いて、ブックスーパーいとう分倍駅前店からブックオフMINANO分倍河原店。ブックオフで『滝田ゆう名作劇場』滝田ゆう(講談社漫画文庫/2002)350円。
京王線に乗って、ブックオフPLUS聖蹟桜ヶ丘オーパ店。
平凡社ライブラリーの入荷が数冊。先月は平凡社ライブラリーが105円均一に選別されていてよろこんだのだが、ふと我に返ったように今日は普通の値札がついていた。
文庫均一棚から『家蝿とカナリア』ヘレン・マクロイ(創元推理文庫/2002)105円。ライトノベル均一で『司書とハサミと短い鉛筆』ゆうきりん(電撃文庫/2009)、うまい具合に2巻と3巻が並んでいて、これで全7巻が揃ったようだ。
新書判の棚では『山梨の鉄道』川島令三(山梨日日新聞社=山日ライブラリー/2003)105円。こういう地方出版の本が混入すると、均一棚は活気づく。
海外小説の棚に奇想コレクションのスタージョン篇が2冊あった。均一棚ではなく、それぞれ1050円。悩む値段ではないはずだが、明日からの正月三が日、ブックオフは全品20%OFFの特売となる。明日になれば2冊で1680円だ。明日にするか。
続いて博蝶堂書店へ。奥のDVDの部屋、エロとエロとのわずかな隙間に縦積みに押し込まれている『日本古典文学大系』は、いつ見ても哀愁だ。今年も来年も、再来年も、濃厚なパッケージに囲まれて、ずっとこうして直立するのだろうか。
道路をはさんだ向こう側、ブックセンターいとう桜ケ丘店をうろうろしているときにふと、明日、スタージョンはちゃんと購入できるのだろうかと、不安に襲われる。ピタリと照準を定めている誰かがいて、開店と同時に狙い撃ちにされるのではないだろうか。昼過ぎにぼんやり出掛けたとしたら、すでにもぬけの殻……。ブックオフに舞い戻り、シオドア・スタージョン、『不思議のひと触れ』(河出書房新社=奇想コレクション/2003)、『輝く断片』(奇想コレクション/2005)、2冊2100円、購入する。
府中駅前の木内書店にも立ち寄って、『沈鍾』ハウプトマン(岩波文庫/1988/10刷)200円。沈鍾とは、池や沼の底に沈んでいるという伝説の鐘のことらしいのだが、伝説云々はさておき、何やらこの題名は暗示的に心を引き寄せた。ずぶずぶと、どこまでも沈む、古本のみの去年今年。
【2025年8月追記】
その後の消息です(2025年8月現在)。
【三鷹】
「上々堂」→営業しています。上々は「しゃんしゃん」と読みます。
三鷹駅南口から中央通りを歩いて約10分。店内在庫豊富、時間の余裕をもってゆっくり訪れたい古本屋さんです。
【武蔵溝ノ口(高津)】
「明誠書房」→閉店。詳細な時期は不明です。
2020年秋頃に西口商店街の店舗を閉じて、綿屋明誠堂の店舗跡へ移転。
翌2021年の11月に訪れてみると、その新店舗も食べ物屋さんに変わっていました。
「ブックセンターいとう高津店」→2016年2月14日閉店。
店舗は府中街道沿いにありました。
閉店したらしい、と友人(US君)に聞いたのは閉店1か月後。御無沙汰しているうちに、いつのまにか無くなってしまいました。
「綿屋明誠堂」→閉店。
上述のとおり、2020年秋頃からは明誠書房として営業。屋号から見ても系列店だったと思われます。明誠書房に場所を譲り渡すような恰好での閉店でした。
店舗は武蔵新城寄りの線路端、昭和の面影を残す長屋の一角にありました。
【分倍河原】
「ブックスーパーいとう分倍駅前店」→2018年6月3日閉店。
日記には「ブックスーパー」と記していますが、その後ブックスーパーいとうはブックセンターいとうに統合されます。2012年当時、スーパーだったのか、すでにセンターになっていたのか、きちんと覚えていません。
「ブックオフMINANO分倍河原店」→営業しています。
【聖蹟桜ヶ丘】
「ブックオフPLUS聖蹟桜ヶ丘オーパ店」→営業しています。
のちにPLUS店舗ではなくなりました。
入店している商業施設オーパは2025年8月31日で営業終了。
9月1日からはヴィータモールせいせきと名を変えての営業となります。それに伴い店舗名も変更されるかと思われますが、まだ正式な発表はないようです。
「博蝶堂書店」→現在も営業しているようなのですが……。
このところ探訪しておらず、店内の様子などの近況は詳らかにしません。
「ブックセンターいとう桜ケ丘店」→2014年2月16日閉店。
【府中】
「木内書店」→2017年3月14日閉店。

