【2009年12月12日/2022年11月追記】杉並書友会から古楽房を経て中野ブロードウェイ

【2009年12月12日】
今日は高円寺、西部古書会館の杉並書友会。
いつもより少し早目に到着する。開場直後なので、狭い通路はごった返していた。熟達の諸先輩は混雑など平気の平左で、黙々と、次から次へと書物を抜き取っては腕に抱える。身動きのとれなくなった素人(私)は、変な踊りを踊るように、その場でくるくると回転してしまう。こうなると本棚を見ても何も見えない。しばし隅っこに避難。
30分もすると、尖鋭隊は去ってゆく。周回遅れというのか、居残り勉強というのか、とにかく私も本棚を巡る。乱れた本や、さかさまになった本を、頼まれもしないのに直してみたりする。安部孝『随筆甘口辛口』(同学社)100円、現代漫画大観3『漫画明治大正史』(中央美術社)250円、中原雅夫『河豚百話』(赤間関書房)300円、桂ユキ子『女ひとり原始部落に入る』(カッパブックス)300円、購入する。

昨日から一転しての穏やかな晴天なので、中野ブロードウェイまでは徒歩で。
西部会館の先のあづま通り商店街を進むと、越後屋書店の先にもう一軒の古本屋があった。看板には「古楽房」とある。「こらぼう」とでも読むのだろうか。
店頭の100円均一で渋沢秀雄『手紙随筆』(文藝春秋新社)を手にとって、半地下の店舗に入る。内装はまだ新しい。
何冊かの値札を見ると、数軒のお店が共同で出品しているようで、小規模ながら常設の古書展という趣きだ。『象牙の河馬』の姉妹篇、『猫の裁判』を発見する。300円。

ブロードウェイ。久しぶりにタコシェに寄って、店頭で100円のルルー。『黒衣婦人の香り』(創元推理文庫)。
まんだらけでは、今日は何も見つからなかった。前から感じていたのだけれど、ブロードウェイの廊下に漂う独特の匂い、これはいったい何の匂いだろう。匂い、というのは比喩で言うのではなくて、実際に嗅覚を刺激する匂いのことである。甘いような酸っぱいような、食べ物のような、体臭のような。中野ブロードウェイでしか嗅ぐことのない匂いなのである。

仕上げはささま書店で徳富猪一郎『蘇翁夢物語』315円、中公文庫を1冊。

2009年12月12日 今日の1冊
*古楽房/高円寺
『猫の裁判』内田亨(大日本雄弁会講談社=ミリオンブックス/1956)300円

内田亨「猫の裁判」表紙

【2022年11月追記】
高円寺あづま通り商店街には何軒かの古本屋があります。
過去、目にしたお店を思い出してみると、中央書籍、大竹文庫、古書十五時の犬、越後屋書店、古楽房、サンダル文庫。
現在も営業を続けているのは、中央書籍、古書十五時の犬、越後屋書店の3軒でしょうか。
最近はほとんど巡回しなくなってしまって、十五時の犬や越後屋書店は、たまに通りかかっても、お休みなのか、開店前なのか、お店が閉まっていて、入店はすっかりご無沙汰している始末です。
越後屋書店は西部古書会館の即売展などに参加していますので、店舗よりも、むしろ即売展でお馴染みの古本屋さんです。
大竹文庫を初めて訪れたのは2009年の夏頃だったでしょうか、お店は開いていなくて、どうやらその時はすでに閉業したあとだったようです。貸本と古本を兼業していた本屋さんだったらしいのですが、今現在も建物は残っていて、〈レンタルBOOK/街の図書室/大竹文庫〉と記された軒の庇も当時のままです。鎖されたシャッターが、ガラガラと音を立てて開くのではないかと、今にもお店が営業を始めるのではないかと、この昔ながらの建物の前ではいつも、しばらく立ち止まります。
時期は定かではないのですが、古楽房はその後閉店。その店舗を引き継いでサンダル文庫が開店したのだったか、サンダル文庫はまた別の場所だったのか、このあたりの記憶は曖昧ではっきりしません。サンダル文庫も閉店し、現在はありません。
高円寺周辺は、開店したり閉店したり移転したり、古本屋の消長が複雑ですぐに記憶が混線します。
そう言えば、西部古書会館の先、あづま通り商店街と交差する十字路の角には一時期までブックマートがあったことも思い出しました。