【2009年12月13日】
神保町、東京古書会館の新宿展へ。
また昨日とは一転して寒くなった。厚着をして出掛け、そのまま上着を脱がずに会場へ入ったら、暖房とお客さんの熱気と、のぼせてしまった。
J・M・スコット『人魚とビスケット』(創元社)は、中に挟まっている月報の執筆者が植草甚一なので買ってみよう。
伊馬春部のラジオドラマ脚本集は1050円という微妙な売価だが書題が『まぼろし』だ。まぼろしは好きだ。
1時間半ほどでひとまわり。即売展は1周2時間を目安にしているから、今日は少し時間が浮いた。そう思って古書会館を出たところで、棚を1列見落としていたことに気づいた。
端から順番に眺めてゆけばそんな失敗はないのだが、棚によっては人だかりのしている場所がある。そういうときは順序にはこだわらず、他の棚を先に見るほうが能率だ。しかし遠回りをしたり斜めに動いたりするうちに自分でも前後が混乱してしまう。
忘れたままならそれで済んだのだが、思い出してしまったからには、もういちど会館の階段を降りて、もういちど荷物を預けて、もういちど新宿展。
その見落とした棚で酒井米夫『ヴァガボンド通信』(改造社)800円を見つける。ついでにさっき見た棚を復習すると戸伏太兵『洋娼史談』(鱒書房)という本があったので追加で買う。400円。見たつもりでも見落としている。
神保町古書モールで山路閑古『古川柳』(岩波新書)100円、三省堂古書館で小酒井不木『大雷雨夜の殺人』(春陽文庫)500円、神田古書センター店頭で小田雅彦『酒の味・九州の味』(東京出版センター)210円など買い、地下鉄で帰る。日曜日の地下鉄は空いている。
2009年12月13日 今日の1冊
*新宿展/東京古書会館
『まぼろし』伊馬春部(宝文館=ラジオ・ドラマ新書/1955)1050円
【2022年11月追記】
東京古書会館の古書即売展はほとんどが金曜土曜に行なわれるなかで、新宿展のみは日曜月曜の変則日程でした。
主に新宿区早稲田の古本屋さんが集まって開催するので「新宿展」の名称があります。
神保町古書店街は日曜定休のお店が多く、また普段は会社勤めの人や学生さんが多いということもあって、日曜日の神保町は案外と人出が少ないです。
新宿展も、初日の朝一番に訪れても、他の即売展に較べるとお客さんの数は少なかったようです。
いつも必ず開場待ちの行列の最前列で待機しているはずの常連さんが、日曜日の新宿展では姿を現わさなかったりと、即売展の入門者にとっては、お客さんの数が少なければ少ないほど好機到来の気合いが入るのですが……。
いくら張り切ったところでそこは実力、お客さんの多寡にかかわらず、その結果に大した差はないのでした。たとえ会場を自分一人で独占したとしても、突然のように大量の掘出し物を収穫することはなさそうです。
新宿展は目録発行もあり、歴史のある即売展でしたが、2016年12月18日・19日の第133回をもって、残念ながら終了となりました。