【2009年12月15日/2022年11月追記】八王子・佐藤書房「たまたまあっただけですよ」

【2009年12月15日】
八王子、佐藤書房での一幕。
ふらりと入店した小父さんが「カフカ(カミュだったかな?)の〇〇はありますか?」と帳場の番頭さんに尋ねている。
すると番頭さんはすばやく店頭の文庫棚に赴き、所望された当の1冊をあっというまに探し出して戻って来た。
小父さん、しきりに感心。
番頭さん、「たまたまあっただけですよ」と笑顔で謙遜。

ただそれだけの、古本屋では格別に珍しくもない光景ではあるのだろうけれど、なるほどたしかに、すべての古本は「たまたまそこにあっただけ」なんだなあ。

それで私は私で、『江戸団扇』大庭柯公(中公文庫)315円、『大阪自叙伝』藤沢桓夫(中公文庫)262円、『日本の民家』今和次郎(岩波文庫)420円、『懐かしき文士たち・大正篇』巌谷大四(文春文庫)157円、『殺人鬼』浜尾四郎(ハヤカワ・ポケットミステリ)315円、『蒸気機関車』阿川弘之(平凡社カラー新書)525円、たまたまそこにある本を1冊また1冊と拾い集める。

2009年12月15日 今日の1冊
*佐藤書房/八王子
『蒸気機関車』阿川弘之(平凡社カラー新書/1975)525円

阿川弘之「蒸気機関車」表紙

【2022年11月追記】
古本屋へ行くと、古本の名言を耳にすることがあります。
御主人あるいは店員さんと、お客さんとの、何気ない会話の中に、それはふいに発せられます。
買った本よりも、そのとき聞こえてきた一言のほうが印象に残り続けるということもあります。