【2010年3月13日/2022年12月追記】西部古書会館の古書愛好会と花粉のくしゃみ

【2010年3月13日】
即売展の朝だというのに、立川駅で停電があったとかで、国分寺にてしばし足留めを食う。電気に立腹しても仕方ないので、おとなしく『書痴半代記』を読みながら復旧を待つ。幸いに15分ほどの遅延で済んだ。

10時半頃、西部古書会館。古書愛好会。
荷物を預けたら、まずは帳場の机を見る。目録が積んであればそれをもらう。
この、オマケにもらう目録はいつもうれしい。帰りの車中の読み物になるし、どんな古書が流通しているのかという、小さな教科書でもある。

屋内の書棚に取り掛かってすぐ、田畑修一郎『出雲・石見』(小山書店)を200円で見つけた。表紙に蔵書印が捺してあるからこの値段なのだろう。有難い。
どこまで歩いても冴えない日があれば、早々に気分の寛ぐ日もある。それはそれでよいのだが、今日は朝からの陽気と南風とで、花粉の鼻水がひどい。眼玉が痒いのは自分が我慢すれば問題はないけれども、鼻水を本の上に垂らしては大変だ。
迂闊なことにはチリ紙を携帯していない。今年は、今までのところ軽症だったので油断していた。
花粉に加えて書物の埃に反応している節もあるのだが、もちろん書物の埃に罪はない。鼻水は、くしゃみの直後に分泌が著しいので、なるべく、くしゃみをしないようにこらえる。しかしあんまり頑張って我慢しすぎると仕舞いにはこらえきれなくなって、ぷへっ、と変てこなくしゃみを発してしまい、余計にくすぐったい。
くしゃみとくしゃみの合い間に、『流行り唄五十年』添田知道編(朝日文化手帖)400円、『D51から新幹線まで』牧林功(鉄道図書刊行会)200円、『やぶかんぞう』戸塚文子(創元社)100円、『妻の温泉』石川桂郎(俳句研究社)100円。

古書会館からガード下の都丸支店へ行き、『上方の味』大久保恒次(婦人画報社)100円などを買い、そして次は荻窪駅で降りると、出口の階段の先でパチンコ屋の店員さんがチリ紙を配っていた。いつもは素通りするくせに、こういうときだけ世話になるのは虫が良すぎるようで、チリ紙はとても欲しかったけれど手を伸ばせなかった。
ささま書店の店頭105円棚より『古都遍歴・奈良』竹山道雄(新潮社一時間文庫)、『危機の詩人』中桐雅夫(早川書房現代芸術選書)、『狼犬』ジェムズ・カーウッド(平凡社北極星文庫)。

2010年3月13日 今日の1冊
*古書愛好会/西部古書会館
『出雲・石見』田畑修一郎(小山書店=新風土記叢書第4編/昭和18)200円

田畑修一郎「出雲・石見」表紙

【2022年12月追記】
西部古書会館の「古書愛好会」は年3回の開催。目録あり。

古書の値段は、その本の状態によって大きく変わります。
よほど珍しい本であれば話は別でしょうけれど、まずたいていは、前の持ち主の蔵書印が捺してあったり、書き込みや線引きがあったりすると、値は下がります。
少しでも安上がりに済ませようと彷徨する身にとっては、そこが狙い目となるわけです。
とりあえず買っておいて、後々、状態の良好な本が見つかったら、改めて買い直すということも考えられます。
本の置き場所には限りがありますから、同じ本を何冊も買うのは少々勇気が要りますが……。
状態が良くても悪くても、本の中に書いてあることは同じです。
函の無い裸本を買ったあとで、函の備わった本を見つけたときは、函だけ売ってほしいと思います。