【2010年3月3日/2022年12月追記】彩の国古本まつり初探訪

【2010年3月3日】
所沢、彩の国古本まつりを初探訪。
会場は1階と8階に分かれており、1階の100円均一で、『本と校正』長谷川鑛平(中公新書)、『競馬』志摩直人(ユニコンカラー双書)、『雪の結晶』中谷宇吉郎・花島政人監修(岩波写真文庫)などまずは6冊。

エレベーターで8階へ上がると、広大なホールをびっしりと古本が埋め尽くしていて壮観。
36店舗が参加しているとのことで、どこから取り付いてよいものか、きょろきょろしてしまう。分身術で36体に分かれたいところだ。
会場案内図を見て、入口に近いキクヤ書店(古書会館の即売展で伊馬春部『まぼろし』『天の川』を買ったお店)から出発する。
2番目のひやま書店の棚で『人喰鮫は夜釣れる』フランソワ・ポリ(番町書房ポイントブックス)250円、『蘭童つり自伝』福田蘭童(報知新聞社)250円、突然のように釣りの本を手にとって、それから……それからパタリと音沙汰がなくなった。
歩けど歩けど梨のつぶて。会場の三方を囲む長大な文庫棚も、なぜだかカラーブックス『小型洋ラン』ばかりが目につく。さっき見たのにまた『小型洋ラン』だ。ここにもある。まだある。

3時間ほどさまよって、頭は芯が抜けたようにトロンとして、50万冊の中からたった2冊ということが、古本世界の深遠に触れている証しじゃないかと、自ら問いかけても応答なし。それはたしかに深遠なのだが、それよりも問題は私自身の眼にあると言えそうだ。何やら干上がっているのだ。

仕方ない、電車に乗っておとなしく帰ろう。
会場の外へ出ればむず痒い春の風。くしゃみひとつ、もうひとつ。
新秋津の駅前の魚屋ではハマグリが1ヶ65円。今日は雛祭りだったんだなあ。

2010年3月3日 きょうの1冊
*彩の国古本まつり/所沢
『雪の結晶』中谷宇吉郎・花島政人監修/写真=岩波映画製作所
(岩波写真文庫/1950)100円

岩波写真文庫「雪の結晶」表紙

【2022年12月追記】
当時は「彩の国古本まつり」と言っていましたが、2012年からは「彩の国所沢古本まつり」と、開催地の所沢を名称に加えて、現在に至ります。
2022年12月の開催で第104回を迎えるという歴史のある古本まつりです(年4回開催)。

何と言ってもその特徴は、「屋内会場としては国内最大級」と謳う広大な会場でしょう。
ダイジェスト版と言ったような1階会場にもそこそこの量がありますが、8階の本会場(くすのきホール)はほんとうに広いです。面積も広いですが、天井もずいぶん高いです。
はるか高みの天井から会場を見下ろしたら、いったいどんな眺めだろうか、と思います。
しかし天井に古本はありませんから、天井を見ることはほとんどありません。
初日の朝一番に訪れたときなどは、100人程の行列が入場待ちをしていたことがありましたが、さて開場して、8階に上がってみると、100人くらいはほんのひとつまみという感じで、むしろ疎らに見えてしまう。この会場では混雑を経験したことはありません。
歩いても歩いても、その先にあるのは古本ですから、もちろんよろこんで歩きます。
歩きますが、たくさん本があればたくさん買えるかというと、そうもゆかないところが、また古本世界の妙。収穫を得られぬまま2時間、3時間とさまよっていると、さすがに後半はくたびれてきますね。
なお、当時の日記には『小型洋ラン』と書いていますが、正しい表記は『小型洋らん』(高林成年/カラーブックス園芸ガイド)です。

8階ホール前には休憩所があります。
喫煙室もありましたが、新型コロナウイルスの騒動が始まって以降、ここのところはずっと閉鎖されているようです。会場を出た直後の一服は、とにかく一仕事終えた、というような、小さな愉しみだったのですが。

1階から8階へはエレベーターで上がりますが、直通になっていて、箱の中のボタンも「1」と「8」しかありません。
このビルの2階から7階はどうなっているのだろう、そんなことは無いとは思いますが、何もない穴ぼこのような空間なのだろうか。