【2010年4月24日】
昨日の五反田アートブックバザールでは思いがけない出費となったが、たまにはそういうハレの日があるというような、古本の祭日だったのだろう。
今日はまた古本の平日に戻って、西部古書会館の好書会、『粋筆やぶいしゃの頭』吉田機司(新潮社)210円、『続漫画寄席』前谷惟光(木耳社)315円、『私たちの劇』村山知義(国民図書刊行会)315円、『かごしま語あんない』竹村清(かごしま語あんない社)210円。
平穏に200円300円の本を拾い集める。
都丸支店を巡回し、それから高円寺から中野まで、線路伝いに歩く。小さな祠と、祠を守る常緑樹。道端には家族計画の販売機がぽつねんと日光浴。
ブロードウェイ。まんだらけの均一棚で『どんたく』竹久夢二(中公文庫)、『女興行師吉本せい』矢野誠一(中公文庫)、『時間と空間のかなた』ヴァン・ヴォークト(創元推理文庫)、105円の文庫本を3冊。
『競馬紳士録』『競馬千一夜』鵜飼正英(三恵書房サンケイブックス)、315円の新書判を2冊。
『競馬…』2冊の、著者略歴を見ると、鵜飼正英氏は演劇実験室「天井桟敷」に関わっていたことがあるらしく、日本初の地下新聞『モンスター・グラウンド』の編集長も務めたそうだ。カバーの袖にはその天井桟敷の主宰、寺山修司が推薦文を寄せている。
荻窪に移って、ささま書店。店頭均一棚からは今日は特にナシだった。ささま書店の均一本を買わない日があってもよいだろう。けれど店内に入ると、『明治開化綺談』篠田鉱三(角川選書)525円、『東京人』田中義郎(ハヤカワ・ライブラリ)315円、やっぱり何か買ってしまう。
2010年4月24日 今日の2冊
*まんだらけ/中野ブロードウェイ
『競馬紳士録』鵜飼正英(三恵書房サンケイブックス/1975)315円
『競馬千一夜』鵜飼正英(三恵書房サンケイブックス/1977)315円
【2022年12月追記】
高円寺から中野までは中央線で一駅。
電車に乗らず、ゆっくり歩いても、30分弱で辿り着きます。
高円寺・中野界隈は古本屋さんが多いので、古本散歩には好適です。
西部古書会館の即売展のあとは中野ブロードウェイへ。定期的に巡回する人もいるのではないでしょうか。
詩人、歌人、俳人、評論家、劇作家、映画監督……。肩書などはどんどんすり抜けて疾走し、そのまま駈け抜けて行ってしまった寺山修司(1983年歿、享年47歳)ですが、大の競馬ファンでもあり、競馬に関する著書も数多く残しています。
『馬敗れて草原あり』(新書館、のちに角川文庫)などの競馬エッセイ、あるいは、『競馬場で逢おう』ほか全6冊の予想コラム集成(JICC出版)。時には哀感が籠もり、時には虚実ないまぜ、時には愉快な人物たちを登場させての軽口と、読む者を魅了します。
鵜飼正英氏については、この日買った本に載っていた略歴くらいしか手掛かりを得られていません。
寺山修司と鵜飼正英が、どのような間柄であったのかは詳らかにしませんが、天井桟敷で活動を共にし、また著書に推薦文を寄せているほどですから、日頃から親しい交流があったのだと思われます。
劇団の稽古の合い間には、競馬予想で盛り上がっていたのでしょうか? 休みの日には一緒に競馬場へ行くことがあったのかもしれません。
『競馬紳士録』『競馬千一夜』のほか、鵜飼氏にはもう一冊『競馬探偵団』という著書があります。発行所は前者と同じく三恵書房です。最後に残った『競馬探偵団』は、未だに見かけたことがありません。
この競馬三部作が、鵜飼正英氏の全著作ということのようなのですが……。こちらも詳細は不明です。