【2010年4月30日】
東京古書会館、下町書友会。
『芸者からスリまで』平野威馬雄編(近代社)630円から始まって、『奥様お耳をどうぞ』水谷準(あまとりあ社)500円、『鰻・牛物語』植原路郎(井上書房)200円、新詩叢書の『龍骨』竹中郁、500円と進み、それから書架の下の段ボール箱に頭を突っこむと『男読むべからず』という、男は読まずにいられないような1冊にぶつかった。丹いね子著、昭和3年刊、500円。
即売展のあとは古書店街。今日は靖国通り北側の一帯を歩く。
長島書店駿河台下店にて原田種夫『新版・九州の旅』と、稲垣真美『可能性の騎手織田作之助』、現代教養文庫を2冊、各100円。
トキヤ書店はまだ準備中。古書りぶる・りべろに寄ったあとは、池谷伊佐夫『古本蟲がゆく』に紹介されていた古書富士鷹屋を探す。
古書組合には加入していないお店のようで、神田古書店連盟作成の《神田神保町古書店まっぷ》には載っていない。『古本蟲がゆく』を読むまでは存在を知らなかった。路地裏のカレー屋、ああいい匂い、の行列を横目に通り過ぎると、その先にひっそりと、富士鷹屋。
ミステリが専門で、専門店ということは値段もそれなりだろうから、手ごろな1冊をうまく見つけられるかどうか不安もあったのだが、専門外の一般書も並んでおり、棚の隅っこから駅弁の本を見つけてよろこぶ。『駅弁の町・東日本篇』秋吉茂(朝日ソノラマ)500円。
カレー屋と古本屋の路地を抜け、白山通りを渡ってSNS神保町。何も買わず、帳場に置いてあった次回の愛書会目録だけ頂戴する。
天気は明朗快晴、神保町は店頭日和。それで私も「古本蟲」になって、あちこちの店頭棚をがさごそと這いまわる。
神田書房店頭より『抽象絵画』乾由明(カラーブックス)、『13の探検物語』スタンレー・ロジャース(現代教養文庫)、2冊100円。
アムールショップ店頭、『太陽神降臨』フィリップ・ホセ・ファーマー(ハヤカワ・SF・シリーズ)300円。
靖国通り沿いに移って、ブンケン・ロック・サイド店頭、『薔薇の眠り』田久保英夫(中公文庫)105円。
@ワンダーの外壁棚、『完全殺人事件』クリストファ・ブッシュ(創元推理文庫)150円。
引き返して田村書店、『性の世界』ヘンリー・ミラー(新潮社一時間文庫)100円、『朝鮮短篇小説選』上下(岩波文庫)2冊400円。
小宮山書店ガレージセール、『夜の異端者』かびやかずひこ(南旺社)、『出版の諸相』布川角左衛門(エディター叢書)、『鬼の子ろろ』素九鬼子(筑摩書房)3冊500円。
八木書店店頭、東京創元社の「ポエム・ライブラリー」1から5まで各100円。
三省堂書店の正面入口でも古書市をやっていて、『毒入りチョコレート事件』アントニイ・バークリー、『ピーター卿の事件簿』ドロシー・L・セイヤーズ、創元推理文庫を2冊と『眼中の人』小島政二郎(岩波文庫)、3冊いずれも200円。
およそ2時間、20冊ほどを拾い集めて、最後はトキヤ書店に舞い戻る。開店していた。
エロ雑誌の中に『ドキュメント通勤電車』篝一光(浜書房)が紛れ込んでいるのだが、紛れ込んだと言っても、これもエロホンの一種と言えば言えるのかもしれない。しかし、古書目録では結構な値段がついていたような覚えもある。値札の表示は1000円だが、このお店は永久半額(?)セールを行なっているから500円だ。
2010年4月30日 今日の1冊
*下町書友会/東京古書会館
『男読むべからず』丹いね子(成光館出版部/昭和3)500円
【2022年12月追記】
東京古書会館の「下町書友会」は年2回、4月と12月の開催です。
「長島書店駿河台下店」は、その後店舗での販売を終了して、現在は同店の事務所になっています。
長島書店は靖国通り沿いにも「長島書店神保町店」があり、こちらは店舗営業を行なっています。
2021年7月には、神保町店の並び、澤口書店をあいだにはさんだ隣りに、姉妹店「Naga」が新しく開店しました。
画集、貸本漫画、少年少女小説のほか、室内の中央のガラスケースには漫画の原稿などが陳列され、ショールームのような趣きです。
神田古書店連盟《神田神保町古書店まっぷ》は神保町の古書組合加盟店を案内する地図帖です。
2010年当時は冊子式でした。その後《JIMBOCHO古書店MAP》と名を改め、冊子から一枚折畳み式の地図へと替わり現在に至ります。毎年改訂され、古書店街、東京古書会館、すずらん通りの「本と街の案内所」などで配布しています。
「富士鷹屋」は組合加盟店ではありませんので、その《古書店MAP》には掲載されていませんが、現在も営業しています。ミステリ好きの方は是非いちど。
カレーのいい匂いが漂っていたお店は「ライスカレーまんてん」です。安さとボリューム、路地裏の人気店です。
そのほか、この日に立ち寄った古本屋さんのうち「古書りぶる・りべろ」「SNS神保町」「神田書房」「トキヤ書店」の4軒はすでに閉店しています。
「古書りぶる・りべろ」の閉店は2019年12月。店舗は閉店となりましたが、通信販売および即売展(ぐろりや会)への参加は継続しています。
「SNS神保町」のSNSはいわゆるSNSのことではなく「新日本書籍」の略称です。閉店の時期は不明なのですが、店舗販売終了後は屋号も「新日本書籍」と改め、こちらも通信販売と即売展参加(愛書会、下町書友会、西部展、BOOK & A など)を続けています。
「神田書房」の閉店時期は、詳細不明ながら2020年1月から2月の間だったと思われます。1月の中旬頃に通りかかったときは営業していたのですが、2月末にはすでに閉店したあとで、お店はがらんどうでした。
「トキヤ書店」も閉店時期不詳です。なお、トキヤ書店については以下の日記に記述がありますのでご参照ください。→【2010年1月15日/2022年11月追記】神保町古書店街と愛書会
【2023年12月追記】
神保町の「富士鷹屋」は2023年11月25日で閉店となりました。