【2010年5月22日】
高円寺、西部古書会館。中央線古書展。
10時前に到着。開場を待っているのは例によってオジサンばかりが3、40人。と思ったらそのなかにオジサンのような面相をしたオバサンが一人だけ混入していた。
戸が開いて、集団が屋内に殺到したのち、とろとろと、車庫に散らばっている廉価本を拾い集める。『世界の旅客機』木村秀政(平凡社カラー新書)100円、『抵抗の新聞人桐生悠々』井出孫六(岩波新書)100円、『薔薇と貝殻』安藤一郎(研究社選書)100円、『わが家の平和』北條誠(好日書房)200円、『アメリカ雑記帳』中野五郎(七星書院)100円。
室内では、昨日今日の趣味展(東京古書会館)と同時にこちらの中央線展にも出品しているぶっくす丈の棚と、地元高円寺から参加の飛鳥書房の棚が面白かった。
『愉快な手帖』秩父三郎(大成社)300円、『珈琲天国』植田敏郎(朝日新聞社)300円、『世界航空史案内』木村秀政(平凡社カラー新書)200円、『イラスト版・オーラルセックス』G・レグマン(池田書店)200円、『新諸国滑稽風土記』岡本薫(妙義出版スマイルブックス)200円、『冗談下談』竹村文祥(美和書院)300円、『随筆離れ座敷』秦豊吉(要書房)350円、『やあ今晩は』渋沢秀雄(宝文館)200円。
およそ2時間で13冊。300円、200円、100円。こういう買物に恵まれたときは気分がなごむ。
都丸支店の店頭棚では現代ユウモア全集の牧逸馬『ヴェランダの椅子』函付を発見する。300円。その他に『不条理の演劇』マーティン・エスリン(晶文社)300円と、『禁じられた惑星』R・シルヴァーバーグ(創元推理文庫)100円。
「順路」に従って、荻窪、ささま書店へ。
腰の直角に曲がった御老人が、這うようにして店頭の均一棚を漁っておられる。だいぶんよれよれの身なりのようだが、左手には重厚な装幀の『名曲解説』を摑んでいる。仙人だろうか。あるいは古本の神様とは、こんな姿で下界に降りてくるのではないか、と。
『出版文化』奥山益朗(東京堂出版)、『風雲剣豪伝』並木行夫(久保書店)、『パリの甃(いしだたみ)』田付たつ子(ミリオンブックス)、各105円。
続いて吉祥寺。藤井書店にて『シークレット・レンズ』小暮裕子編著(二見書房)200円、『南島の神歌』外間守善(中公文庫)250円、『詩を想ふ』川路柳虹(草原文庫)150円。
古本センターで『なつかしの蒸気機関車』久保田博(カラーブックス)200円。
2010年5月22日 今日の1冊
*都丸書店支店/高円寺
『ヴェランダの椅子』牧逸馬/現代ユウモア全集第22巻
(現代ユウモア全集刊行会/昭和5)300円
【2022年12月追記】
「オジサンのような面相をしたオバサン」とは、失礼な言い草です。
古書即売展のご常連の多くは、地味な格好をしています。地味というのがやはり失礼ならば、質素といえばよいでしょうか。黒ッポイ服装です。
10年20年と古書にまみれていれば、自然と、その風貌も古書に似てくるということなのかもしれません。
朝一番に古書会館へやって来るような人たちは、なおさらそうでもあるようです。
オジサンのようなオバサン、などという陳腐な例えでは決して言い表わせない、もはや男性とか女性とかは超越して、「古書のような人」としか言いようがないのではありますまいか。