【2010年7月2日/2023年1月追記】高円寺、高田馬場、中野

【2010年7月2日】
今週末の東京古書会館は七夕入札会。
業者が対象の入札会なのだが、今日と明日は下見展観日になっており、一般客も入場できるらしい。
先週、古書会館でもらった入札会のパンフレットを見ると、「夢野久作・杉山茂丸書簡一括」「立原道造詩稿」「梶井基次郎草稿」など、なんだか物凄いものが掲載されている。
それらは現物を手にとって鑑賞できるそうである。文化財と言えるような逸品と、じかに触れるということは、ただ眼福というにとどまらず、必ずやなにがしかの感化をもたらすことだろう。
ちなみに「梶井基次郎草稿」の入札最低価格は3000000円。

しかし入札会の見学はパスすることにして、高円寺の西部展。
ガレージの平台にどっさり並んだロマン文庫をぼんやりと眺める。そして、0の数をかぞえる必要のない廉価品に触れているだけでも、この心は充たされてしまうのである。
文化7年刊の『新訂万国全図』(入札最低価格2000000円)が絶品であることは当然として、小倉清太郎『女性美の探究』(420円)も、なかなか捨てたもんではないと思うのである。

購入メモ*西部展/西部古書会館
『日本陥没』飯沢匡(ラジオ・ドラマ新書)300円
『パール傑作選Ⅰ』(ロマン文庫)200円
『強くなる随筆』木田雅三(日本文芸社)200円
『女性美の探究』小倉清太郎(講談社)420円

中野駅まで歩いて東西線に乗り、高田馬場。駅前のBIGBOX古書感謝市で『父岸田劉生』岸田麗子など3冊購入。
中野に戻ってブロードウェイを周遊。
4階のまんだらけの均一棚であまとりあ社の新書判『夜あそびがイヤになる本』を見つける。
このあいだ2階の古書うつつで見かけた『女神のストッキング』を今日は買うつもりでいたのだが、おや、まんだらけの棚にも『女神のストッキング』が並んでいる。
古書うつつの1300円に対して、こちらは525円とずいぶん安い。ただし装幀が違う。
そこで2階に降りて、古書うつつの『女神』の奥付を確かめると、新装版と記してあった。増補改訂というわけではなく、外見を替えただけで中身は同一のようである。
すみませんと頭を下げて本を元に戻し、ふたたび階段を、小走りに駆け上がり、まんだらけの525円の『女神』を入手する。
数百円の節約のために階段を降りたり昇ったり、御苦労なことだとは思う。
まんだらけのまた別の店舗、昔のマンガを集めたお店では文庫版の横山隆一『百馬鹿』を買う。

*BIGBOX古書感謝市/高田馬場
『父岸田劉生』岸田麗子(中公文庫)200円
『文壇えんま帖』佐藤観次郎(学風書院)400円
『歩行者』安騎東野(甲鳥書林)500円
*まんだらけ/中野ブロードウェイ
『夜あそびがイヤになる本』石井淡酔(あまとりあ社)105円
『空のトイレット部長』関口規矩二(サンデー新書)420円
『女神のストッキング』天野哲夫(工作舎)525円
『百馬鹿』横山隆一(小学館文庫)210円

ネルケンで珈琲を飲みたくなったので、高円寺まで歩く。
飛鳥書房に寄道して、いったいどんな妖精なのか『スペルマの妖精』買う。

*飛鳥書房/高円寺
『スペルマの妖精3』倉沢七海写真集(さーくる社)350円

【2010年7月2日】今日の1冊
*まんだらけ/中野ブロードウェイ
『夜あそびがイヤになる本』石井淡酔(あまとりあ社/1964)105円

石井淡酔「夜あそびがイヤになる本」表紙

【2023年1月追記】
東京古書会館の「七夕古書大入札会」は、名称のとおり毎年7月に開催されます。
主催は明治古典会。自筆原稿、書簡、初版本、歴史資料など、貴重な文献類が出品されます。
金曜日と土曜日が一般下見会(入場無料)。
日曜日は業者(組合員)のみが参加する入札会となります。
即売展ではありませんので、その場で購入することは出来ません。
お客さんから委託を受けた古本屋さんが、お客さんの希望価格で代理入札します。
いちばん高い値をつけた人が落札です。
「明治古典会」のホームページによりますと、専門家が相談に応じてくれるので、初心者の方でも安心して入札価格を決められるそうです。
いちいち言うまでもありませんが、私は七夕入札会で買い物をしたことはありません。

東京古書会館では七夕入札会のほかにもうひとつ、一般公開の入札会が行なわれます。
東京古典会主催の「古典籍展観大入札会」です。
こちらは毎年11月に開催されます。
主な出品物は、和本、古文書、古筆、古地図、錦絵など。
金曜土曜が下見会。
日曜月曜が入札会です。
入札の手順は、七夕入札会と同様です。