【2010年7月10日/2023年1月追記】古書愛好会と愛書会

【2010年7月10日】
西部古書会館の古書愛好会。

購入メモ*古書愛好会
『山本道子詩集』(思潮社現代詩文庫)100円
『セックスはスポーツである』森川昭彦(ナイトブックス)100円
『たびまくら』武野藤介(あまとりあ社)100円
『臆病者の未来』フレデリック・ポール(ハヤカワ・SF・シリーズ)100円

狙ったわけではないのだが、買いたいと思った本はどれも100円だった。
わたくし=100円均一(?)

神保町に移って東京古書会館、愛書会。
もうずいぶん前に国立のみちくさ書店で見かけて以来の『いかもの』と再遇する。
あの時はまだ即売展を知らなかったし、もう二度と見ることはないだろうと思ったものだった。
こうしてふたたび見かけるのが何かの縁なら、それでは買ってみようと思うのも何かの縁なのだろう。
村山知義『グロッス』が500円とはうれしい。ささま書店では3000円の値が付いていて、何度か手にとっては静かに戻した。
汚れていて、帯欠で、学校の図書館が処分した本だから、この価格なのだと思う。
扉には「白〇(樺?梅?)学園図書室」の蔵書印が捺してあり、さらに「除籍」の印があった。
高尾文雅堂の棚に、清水崑『筆をかついで』と、中川秀人『おっぱい随筆』、どちらも1000円。
どちらも、もう少し頑張ればそのうち500円くらいで見つかりそうでもあるのだが、折角見つけたのだから買っておこう。とりわけ『おっぱい随筆』は題名に眼がくらんだようでもある。
『ドクトル・チエコ』と『筆一本』を追加して、計6冊の購入。

*愛書会/東京古書会館
『いかもの』角田猛(ダヴィッド社)500円
『グロッス』村山知義(八月書房)500円
『筆をかついで』清水崑(創元社)1000円
『おっぱい随筆』中川秀人(鱒書房)1000円
『ドクトル・チエコ』木下和子(文藝春秋新社)210円
『筆一本』十返肇(鱒書房)525円

村山知義「グロッス」表紙
『グロッス』村山知義(八月書房=人民の画家選書/1949)

古書店街はまず田村書店の段ボール箱から『アメリカン・ナイーブ展』図録と、土曜美術社の現代詩文庫を2冊、『足立巻一詩集』と『杉山平一詩集』。
『立川文庫の英雄たち』の著者、足立巻一は詩人でもあったんだ、と古本屋の店先で古本に教えられる。ミロンガでひと休み。

文省堂書店の店内100円棚を見ていると、お店の外が何やら騒々しい。
店頭の雑誌をくすねようとした人物をご主人(店員さん?)が咎めた様子なのである。
未遂ということで、そのまま放免となったようだけれど、見つかった兄さんはやたらと開き直って声を荒げるので傍から見ていて怖かった。
「だから買うよ!」と怒鳴り、ご主人は「買わないでくれ」と断乎拒絶した。

神田古書センターの店頭販売、今日の担当はみわ書房。
幾冊か積んであった小冊子の中に見覚えのある上品な瓜実顔が見えた。平井房人の思ひつき夫人だ。
ただし書名は『もの知り夫人』。戦後、昭和23年の発行で、3コマ漫画によるアイデア集という内容からすると、これは戦前に刊行された『思ひつき夫人』全3巻(昭和13~14年)の抄録改題版のようである。
発行所は大阪朝日新聞社から、京都の都新聞社に変わっている。
〈思ひつき〉から〈もの知り〉へと名を変えながら、工夫上手なこのご夫人は無事に戦火をくぐり抜けたのだ。
最後は長島書店の店頭でハヤカワSFと角川文庫の2冊。

神保町古書店街*田村書店
『アメリカン・ナイーブ展』図録(朝日新聞社)100円
『足立巻一詩集』(土曜美術社日本現代詩文庫)100円
『杉山平一詩集』(土曜美術社日本現代詩文庫)100円

*巌松堂図書
『新しき芸術』オザンファン/ル・コルビュジエ(河出新書)300円

*文省堂書店
『ダイヤル風流譚』穴吹義教(圭文館)100円
『フクちゃん1』横山隆一(講談社漫画文庫)300円

*神田古書センター店頭=みわ書房
『鉄道人生』渡辺公平(日本交通公社ベルブックス)210円
『もの知り夫人』平井房人(都新聞社家庭叢書)840円

*長島書店神保町店
『思考の網』ヘルベルト・フランケ(ハヤカワ・SF・シリーズ)250円
『人喰い猫』バートン・ルーシェ(角川文庫)150円

平井房人「もの知り夫人」表紙
『もの知り夫人』平井房人(都新聞社=家庭叢書/昭和23)

【2023年1月追記】
西部古書会館の「古書愛好会」は年3回(3・6・11月)の開催。
目録が発行されます。
  ◇
東京古書会館の「愛書会」は年6回。奇数月の開催です。
目録あり。
  ◇
平井房人【ひらいふさんど、1903(明治36)-1960(昭和35)】は漫画家。
福岡県八女市に生まれました。
宝塚少女歌劇団美術部に勤務し、雑誌『歌劇』の編集やポスター制作などを手がけたほか、絵葉書の図案制作、また数多くの新聞や雑誌に挿絵や文章を寄稿しています。
『思ひつき夫人』は「大阪朝日新聞」に連載されました。
『宝塚花束』(耕進社/昭和10年)、『ウサギノ床屋さん』(昭和出版/昭和21年)、『カンチャンノイタヅラ日記』(保育社/昭和22年)、『どんぐり太郎』(広島図書株式会社/昭和22年)、『怪盗こうもり団』(育英出版/昭和22年)、『漫画の世界』(育英出版/昭和23年)など、漫画・絵本を中心に多くの著書を残しています。
個人的には、初めて訪れた古書即売展で、最初に買った1冊が『思ひつき夫人』第三輯でしたから、平井房人は思い出深い作家です。
もっと絵本や漫画を手に入れたいとは思うのですが、ほとんど見かける機会がないのは残念です。
滅多に出回らないとなると、古書価はいったいどうなってしまうのでしょう。溜息。

『思ひつき夫人』を買った古書会館初探訪の日記は以下をご覧くださいませ。
【2009年9月26日/2022年11月追記】東京古書会館初探訪