【2011年1月16日/2023年3月追記】くにたちコショコショ市

【2011年1月16日】
昼から、くにたちコショコショ市へ。
国立駅を降りて旭通りを少し歩くと、コミュニティホールの前庭というのか、玄関先が会場だった。
12、3人の出店者がそれぞれ敷布を広げて、各自が持ち寄った古本をこぢんまりとまとめて並べている。
その一員として岡崎武志氏も参加されており、びっくりする。
本の量に圧倒される気配はなく、眼の血走った剛の者が飛び交うこともなく、まったくアットホームなのである。雰囲気は親密だが、今日の外気はたいへん冷え込んでいて、売るほうも買うほうもしっかり重ね着をして、皆さん、ふくら雀だ。
『神秘の詩の世界』多田不二詩文集(講談社文芸文庫)600円、『奈良登大路町・妙高の秋』島村利正(講談社文芸文庫)400円、『しずく』滝田ゆう(小学館文庫)500円、『郵便配達夫シュヴァルの理想宮』岡谷公二(河出文庫)500円。

多田不二詩文集「神秘の詩の世界」表紙
『神秘の詩の世界』多田不二詩文集

漁るとか、掘り出すとか、そういうことではなくて、古本を買うという行為そのものを愉しむための古本市なのだろう。
1冊の本を仲立ちにして会話を交わす。売り手から買い手へと積極的に声が掛かっているのは、即売展ではほとんど有り得ないし、古本屋でもあまり見かけない。
ここで1冊、隣りで1冊と、何かの本を買うごとに「これは珍しいですよ」とか「ああこの本は」とか、店主さんからの思い入れの籠もった一言が発せられる。それをいくらか煩わしいと感じてしまうのは、どうしようもない私の弱点だが……。

滝田ゆう「しずく」表紙
『しずく』滝田ゆう

岡崎武志氏から手渡しで古本を買うという貴重な体験を味わった。『手軽な西洋料理法』(主婦之友実用百科叢書)、昭和3年、定価60銭の本を差し出すと、岡崎氏はぱらりとめくり、「これ見て作ったらどんな料理になるやろな」と気さくに評して、値札800円のところを100円オマケしてくださった。
常日頃、岡崎氏の著書を古本教科書として愛読していることの、御礼を述べる絶好の機会であったのだが、まごまごしているうちに言いそびれる。
さらに購入のオマケとして特製古本おみくじを引かせてもらった。小吉でした。

「手軽な西洋料理法」表紙
『手軽な西洋料理法』

【2023年3月追記】くにたちコショコショ市
1月の屋外開催。寒さに負けず、和やかな雰囲気で古本を販売していた「くにたちコショコショ市」でしたが、その後も回数を重ねて開催されたのかどうか、定かではありません。
私が訪れたのは、この日の1回のみです。
当時の私はきちんと認識していなかったのですが、おそらく一箱古本市のひとつだったのだと思われます。
2005年の「不忍ブックストリート」に始まった一箱古本市は、その後全国各地に広がりました。
毎月どこかしらで開かれるほどの活況ぶりです。
古書組合の加盟店が主催する古本まつりとは異なり、一般の人たちが、その日だけ店主さんになって、持参した古本を売ります。やはり商売というよりは、交流が主眼にもなるのでしょう。
店主さんとの会話を愉しみに訪れるお客さんも多いはずです。
それぞれの地域の人たちが運営しますので、遠くの町での一箱古本市となると、なかなか日程を把握しづらいのですが、最近は「一箱古本市あれこれ(情報など)」というブログで、全国各所の日程を確認することができます。