【2011年1月5日/2023年3月追記】古本初詣

【2011年1月5日】
古本初詣。お昼前、立川フロム中武の恒例古書市へ。
内心、初稽古という気合もないではないのだが、足取りはうきうきするし、頰はゆるむし、傍から見ればただのオメデタイ奴である。
それに新年とはいえ古書市なんだから、そこにあるのはすべて古い本で、今年もまた、昔へ昔へと、ひとえに後ろ向きの出立なのであった。
『うらなり先生ホーム話し』渡辺一夫(カッパブックス)250円、購入。
続いて八王子、佐藤書房。
店内の奥の番台からカップやきそばの匂いが漂う。おせち料理も食べ飽きて、そろそろインスタントの風味を欲する頃合なのだろうか。たしかに、物凄くいい匂いだ。
入口の帳場では、店員さんとお客さんが先日亡くなった田村治芳氏の話をしていた。
『随想ないと・きゃっぷ』さとうたかし(珊瑚書房コーラルブックス)105円、『夜の報告書』加藤てい子(サンデー新書)735円、新書判を2冊購入する。

加藤てい子「夜の報告書」表紙
『夜の報告書』加藤てい子(秋田書店=サンデー新書/1965)

【2023年3月追記】田村治芳氏
田村治芳【たむら・はるよし】氏は「なないろ文庫ふしぎ堂」店主。
また、古本の雑誌『彷書月刊』の編集長を務めました。
2011年1月1日に逝去。享年60歳。1月4日付朝日新聞の訃報欄にその知らせが載りました。
なないろ文庫ふしぎ堂は、一時期までは大井町線九品仏駅前に店舗があったようなのですが、残念ながら私は訪れたことがありません。
後年は事務所営業となり、即売展を中心に活躍されていたとのことです。
もしかしたら、南部古書会館の即売展会場でお姿をお見かけしたことがあるかもしれない、と、必死になって記憶をたぐってみますが、これも残念ながら、思い出すことができません。
ただ、何の古書目録だったか、なないろ文庫ふしぎ堂のページは活字ではなく、田村氏の手書き文字であったことだけを、今でもよく覚えています。
田村治芳氏の著書に『彷書月刊編集長』(晶文社/2002)があります。
現在、新刊では品切れになっているかもしれませんが、その点は心配いりません。
古本を探せば、どこかで必ず巡り合えます。
雑誌『彷書月刊』(彷徨社、のちに弘隆社)は1985年9月創刊。2010年10月号(第300号)で休刊となりました。