【2011年2月11日/2023年3月追記】三木鶏郎『冗談十年』全3冊が揃う

【2011年2月11日】
昨夜は友人K君の家で呑み、そのまま泊まる。
目覚めると雪が降っていた。
八王子から中央線に乗り、都心に向かうにつれ、雪からみぞれ、雨へと変化。
東京古書会館、書窓展。
あきつ書店の棚で生方敏郎の随筆集『哄笑・微笑・苦笑』(大日本雄弁会)1800円。
みはる書房の棚から三木鶏郎『続々冗談十年』(駿河台書房)1000円。早稲田、三鷹、そして今日の神保町と、方々で拾い集めて、『冗談十年』も全3冊が揃った。計3000円で入手した計算になるが、いつだったかささま書店では3冊揃が4200円だったから、時間は掛かったものの、まあまあの収穫結果と言えるだろう。
ぐるりと会場1周の後、最後にまたあきつ書店へ。
棚の下の暗がりに薄冊の雑誌が10冊ばかり、棄てられたように置いてあったので見分してみる。なんでも一応は見てみるものだ、雑誌の陰からB6判ほどのぺらぺらの、岩佐東一郎詩集『午前午後』がひょっこりと現われた。ちまた書房の新選詩人叢書、300円。

三木鶏郎「続々冗談十年」表紙
『続々冗談十年』三木鶏郎(駿河台書房/昭和29)

三省堂書店の店頭特設古書市、小宮山書店ガレージセールなど覗いて、ミロンガで熱い珈琲。
古書会館の傘立てで、私はK君から借りたビニール傘を誰か他の人のそれと間違えて持ってきたらしい。借りてきたときよりもいくらかくたびれて見える。
同じような傘であっても、違うことには違いなさそうだから、会館に戻って取り替えてこなければいけないのだが、あのビニール傘の乱立から正しく見出せる自信がない。この傘の持ち主にもK君にも申し訳ないが、この件はこれ以上触れずにおく。
古書モール、購入なし。その階下の三省堂古書館へ行くと、来月から隣りの本店4階に移転するとの告知が貼り出してあった。
新着書の棚にサンリオSF文庫の『氷』アンナ・カヴァンがあった。400円は安い。たしかサンリオとは別の出版社が、のちに単行本の改訳版を出しているはずだったけれど、それにしても400円での放出ということは、そろそろハヤカワ文庫か創元文庫に収録される予定があるのかもしれない。まあ、あれこれ勘繰らずに買っておこう。

【2023年3月追記】古書会館の傘立て/『氷』
即売展のお客さんの傘は、ほとんどが黒か紺の蝙蝠傘か透明のビニール傘です。
雨の日の古書会館の傘立てには、特に初日の朝は、似たような傘ばかりがぎっしりです。
よく確かめないと、この日の私みたいに、他人の傘を間違えて持ってきてしまいます。
また別の日には、私の紺色の傘を誰かが持って行ってしまったこともありました。
傘消失の事例は結構多かったのかもしれません。その後、東京古書会館では、傘立ての脇に輪ゴム付きの名札とペンを用意してくれるようになりました。
各自名前を書いて傘の柄にくくりつけておきます。
こうしておけば自他の傘を混同する心配はありません。たいへん有難い配慮です。
初日の午前中を過ぎれば、お客さんの数も落ち着いてきますから、傘の見分けもさほど困難ではないでしょう。しかしビニール傘の扱いには気をつけたいところです。間違えたことに気づかずに、そのまま誰かの傘を使い続けてしまうということもありそうですが。
  ◇
アンナ・カヴァン『氷』は、ハヤカワでもなく創元でもなく、ちくま文庫に収録されました。
過去の邦訳を刊行年の順にたどると、
サンリオSF文庫/1985年
バジリコ/2008年(単行本)
ちくま文庫/2015年
となります。
出版社は異なりますが、いずれも山田和子訳です。
バジリコ版は、サンリオ版の改訳。ちくま文庫版はバジリコ版の再刊となっています。