【2011年2月25日】
神保町、午前11時。
田村書店の店頭で『柿の種』に迷う。
寺田寅彦著、岩波文庫。これは持っているのか持っていないのか、古本屋で見かけるたびにいつも思い出せなくて混乱する1冊。200円なので買ってしまう。
東京古書会館、ぐろりや会。
『江戸のおいなりさん』塚田芳雄(下町タイムス社)1000円を何となく手にとる。内容はかなり本格的な研究のようで私には勿体ないが、版元が下町タイムス社という小さな出版社であることが魅力となって購入してみる。古書りぶる・りべろの平台には近代ナリコ氏と浅生ハルミン氏の『読書クラブ』が、それぞれ5、6冊ずつ、新刊書店みたいに積んである。『ナリコの読書クラブ』『ハルミンの読書クラブ』(彷徨社)、どちらも200円だったので、合わせて購入。
それにしても今日は一気に春めく。南風が押し寄せて眼玉が痒い。
小宮山書店の中2階に上がると『真鍋博展』図録に色めくが5000円では手が出せない。
もういちど田村書店の店頭を覗き、そこから各店の店頭伝いに@ワンダーまで。南風に吹き飛ばされて購入なしに終わる。
【2023年3月追記】持っている本と持っていない本
この本は持っているのかいないのか。
古本屋の棚で所持不明の本に行き当たる瞬間は、何とも悩ましく、もどかしいものです。
持っているような気がして買わなかった本が、実はまだ持っていないということはよくあります。
迷った挙句に買ってきた本が2冊目だったと知ったときは心の底からがっかりします。
悪いのはすべて、自分の記憶力が原因です。誰のせいでもありません。
どうやら、この日買った寺田寅彦『柿の種』は2冊目だったのですが、そのあたりの記憶もすでに曖昧で、買ったのだとしたら2冊あるはずなのですけれど、今探してみたら『柿の種』はどこにも見当たらない。これでは買っていないのと同んなじで、結局は3冊目を買うしかないことになります。
その後、蔵書メモを作成し、持ち歩くようになりました。
いい加減な記憶をだいぶ補ってはくれますが、それでも迷うときがあります。
メモには記していないけれど、何となく買った覚えがある。記載漏れかもしれない。
しかし、重複を恐れているようでは、まだまだ初心者の域を出ていないということなのかもしれません。
いちいち蔵書メモを広げて確認したりせず、そのとき気になった本は片っ端から買ってゆく。5冊目でも6冊目でも、お構いなし。
それくらいの根性がないと、筋金入りとはならないようです。
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蛇足ながら『江戸のおいなりさん』は、童謡「いぬのおまわりさん」のメロディにのせて唄いたくなる題名です。