【2011年4月2日】
西部古書会館、杉並書友会。
『シチリアを征服したクマ王国の物語』ディーノ・ブッツァーティ(福音館文庫)100円、
『ドライ・ママ』戸塚文子(ポケット文春)150円、
『新しき風景画の進路』鍋井克之(文啓社書房)600円、
3冊購入。10時から12時まで。
歩いて中野へ行き、まんだらけ、古書うつつ、今週も買物なし。
歩いて高円寺へ戻り、ネルケンで野呂邦暢『夕暮の緑の光』を50頁ばかり読む。
午後3時になったらガード下四文屋へ直行するつもりだったのだが、古本随筆を読んだあとは、もう少し古本屋を歩きたくなった。
久しぶりに大石書店を訪れて、さらにその先にもう一軒、西村屋書店という古本屋があるようなので、商店街を南下してみる。前方右手に西村屋書店が見えてきて、いや、その斜め手前の店にも店頭に古本が置いてある。
アニマル洋子。?? よく判らないが、軒上の看板にはアニマル洋子と表示してある。
店内の半分は古本、半分は古着を扱っていた。
まつやまふみお『柳瀬正夢』がカバー欠ながら2500円、この本はささま書店ではカバー付きで5000円だった。アナイス・ニン『近親相姦の家』1000円、野呂邦暢『失われた兵士たち』800円、床の箱の中には池部鈞『凸凹放送局』が500円。
何かとんでもない本が、とんでもない安値で隠れているのではないかと血が沸いたが、河出新書『夢声随筆』は2000円で、ムナーリ『ナンセンスの機械』には12000円が付いていた。
屋号は冗談半分のようでも、中身は相当な実力派のようである。『ナンセンスの機械』は、そうどこでもは見かける本ではない。
その実力に財布で応えられないのは哀しいが、またひとつ面白い古本屋に出くわした。
厳密に言うと古本屋なのかどうかは判らないが、古本を売っているお店には違いない。
『新聞の秘密』堀太一、100円のカッパブックスと、異色探偵小説選集第9巻『100%アリバイ』C・ブッシュ(日本出版協同)800円を購入する。
それから、さっきまず目に入った古本屋、西村屋書店へ。
こちらはどこからどう見ても純正な古本屋だ。
昔ながらの風情を保ち、帳場の硝子戸の向こう、ご主人は背を丸めて炬燵にあたり落花生か何かをつまんでいる。
もうずいぶん停滞しているような書棚の本も、こういう一見したところ見栄えのしない棚から会心の1冊を見つけることこそ古本巡りの醍醐味だと、いつも思うのだが残念、ここでも何も見つけられなかった。
引き返して、都丸支店をざっと眺めてから四文屋へ。
隣席の御仁は私が注文したハチノスが気になっていたらしく、声を掛けられて、ハチノスはほんとうに蜂の巣かと思ってぞっとした、と何度も何度もその話題を繰り返す。
行きつけの店があるから一緒に行こうと誘われる。
このあと、ささま書店を巡回する予定ではあったけれど、これもひとつの学校なのだろう。
ハチノス氏に従って次の店へとお邪魔して、2時間ほど焼酎の勉強をする。
【2023年3月追記】高円寺ルック商店街の古本屋
高円寺駅南口のパル商店街を進むと、アーケードが途切れたところからはルック商店街と名を変え、そのまま丸ノ内線の新高円寺駅まで続きます。
ルック商店街に入ってすぐ右手にあるのが「大石書店」。
文学や学術書が折目正しく並ぶお店です。硬軟で言うと硬の品揃えということになりますが、整頓の行き届いた店内は明るい雰囲気で、堅苦しいところはありません。現在も営業しています。
その先の左手に見えてくるのが「アニマル洋子」です。
当時の私はその存在をまったく知らずに行き当たりましたので、かなり混乱しました。
その後購入した『ミステリーファンのための古書店ガイド』野村宏平(光文社文庫/2005年)にはきちんと掲載されていて、「専門店にも劣らない濃い品揃えである」と記されています。
古本好きには有名なお店だったようです。
個性が炸裂する痛快な古本屋さんでしたが、数年前に閉店となりました。
アニマル洋子のまた少し先、右手に「西村屋書店」があり、こちらはいかにも昔ながらの佇まいで商店街に馴染んでいましたが、すでに閉店しています。
『ミステリーファンのための古書店ガイド』には、さらにその先に「勝文堂書店」と「エーワンブック」が載っているのですが、この2軒は訪れる機会のないままに終わってしまいました。
また『中央線古本屋合算地図』岡崎武志・小山力也共編著(盛林堂書房/2017年)を見ますと、大石書店と西村屋書店のあいだに「山水書房」、勝文堂書店の先には「文書堂書店」と、また別の2軒が存在していたことが窺えます。
右に左に、古本屋が点々と続いていたルック商店街ですが、現在は大石書店のみが残り、孤軍健闘しています。
2022年9月、その大石書店の先を左に曲がった横丁の2階に、新刊書を中心とした「蟹ブックス」が開店しました。