【2011年6月24日】
東京古書会館、書窓展。
あきつ書店より堀内新泉『百人百癖』(日東堂書店)裸本で900円、雑誌『書物展望』昭和7年2月号(書物展望社)200円。
貴龍堂より横井福次郎『完全版ふしぎな国のプッチャー』(桃源社)800円。
みはる書房からは、4月の和洋会で買い損ねた(いちどは確保しながら会計直前に購入済みのような気がして手放したのだが持っていなかった)徳川夢声『悲観も愉し』(創元社)500円とふたたび遭遇。和洋会で売れ残ってくれたことを感謝しつつ、今日は気合いを入れてしっかりと抱える。
計4冊。
古書店街は田村書店の段ボール箱から小栗虫太郎傑作選Ⅱ『白蟻』(教養文庫)100円。
地下鉄に乗って13時半、五反田。
南部古書会館の五反田古書展。
1階、『禁じられた珍本』城市郎(桃源社)200円。
2階、まず平野威馬雄『お化けの住所録』(二見書房サラブレッドブックス)200円。
それから公文堂書店の棚に、このあいだ町田の高原書店で見かけたものの価格4000円に引き下がった高田保『人魂黄表紙』(原始社)を見つける。今日はどうだろう、鐘が鳴るか? 5250円、鐘、鳴らず。
しかしその近くには同じく原始社刊の北村小松戯曲集『提琴弾きと喇叭吹き』が函付で2100円。鐘、小さく鳴る。
午後2時をまわり、昨夜は寝不足だったものだからさすがに身に応えてきた。
昼下がりの古本というものは、まったく眠気を倍加させる効能がある。
大っぴらに欠伸しながら、うつらうつらと書架を巡り、美術出版社のみづゑ文庫が幾冊か並んだなかに鈴木信太郎『静物画の話』200円を見つけたときには遠くのほうで鐘が鳴ったか。
そして古書赤いドリルの棚で粋人酔筆『お寝間の酒』矢野目源一集(住吉書店)の登場に、これは鐘ではなく何やら軽妙なファンファーレが聴こえたようでもあったのだが空耳だろう。500円。
15時、高円寺に漂着し、ガード下四文屋の梅割りは今日も穏やかな波止場であった。
最後はささま書店に寄り、店頭均一棚から『セクシー経済学』岡部寛之(三笠書房)105円。
【2023年4月追記】即売展の参加店
古書会館の即売展にはだいたい15店前後の古本屋さんが参加します。
○○展にはA店B店C店…、××展にはD店E店F店…というように、会ごとの参加店は決まっていますが、回数を重ねるあいだにはお店の入れ替わりがあります。
閉店による退会、開店による新規参入、あるいは別の会への移籍など、様々な理由のもとに即売展の参加店は変遷してゆきます。
毎回ではなく間をおいての参加や、しばらく休んだのちに復帰するということもあるようです。
たとえばこの日の書窓展で記載したお店で言うと、「あきつ書店」は現在も参加を続けていますが、「貴龍堂」と「みはる書房」はすでに退会しています。
また五反田古書展では「公文堂書店」が退会し、「古書赤いドリル」は引き続き参加しています。
参加店の状況を逐一追いかけるのはなかなか煩瑣であり、また事細かに把握しなくても即売展は充分に愉しめますから、その必要はないと言えます。
しかしその年その年でどのような古本屋が参加していたのかは、時代を映し出す鏡のひとつでもあるはずで、興味深いところです。『古書即売展史』なんていう本があれば、是非一読したいです。
それまでお馴染みのお店、自分の好みと相性のよかったお店が撤退してしまうというのは淋しいものです。
書窓展のほか和洋会にも参加していたみはる書房は古典芸能の専門店ですが、即売展では専門外の一般古書を格安で並べてくれることが多く、なかには戦前の珍しい本もありいつも愉しみな棚でした。
時期は定かでないのですがまず和洋会を退会され、その後、2021年以降は書窓展にも参加していません。
閉店したわけではないのでまたいつか復帰してくれるかもしれないと淡い期待を寄せつつも、移り変わりは世の定め、今まで幾冊もの本を(安く)買えたことに感謝するのみです。