【2011年6月4日・7日・11日・19日/2023年3月追記】日記とは言えない日々の古本

【2011年6月4日】
西部古書会館、杉並書友会。
『亭主教育』安部艶子(学風書院)100円
『国鉄』青木槐三(新潮ポケット・ライブラリ)150円
『代理パパ』中川秀人(信友社)300円
新書判3冊購入。
『代理パパ』の著者、中川秀人の名前はどこかで見た覚えがある。どこだったかとしばらく考えて『おっぱい随筆』の著者だったと思い出す。
古楽房、越後屋書店、都丸支店と巡回してネルケンで珈琲。

中川秀人「代理パパ」表紙
『代理パパ』中川秀人(信友社/1957)

【2011年6月7日】
まつおか書房、佐藤書房、みちくさ書店。八王子から国立と巡回。
収穫ナシに終わる。
みちくさ書店では三橋猛雄『雑文集古本と古本屋』が注目だったが価格4500円に引き下がる。
ブックオフ国立駅南口店にて長新太『ノンビリすいぞくかん』と佐々木マキ『なぞなぞライオン』、150円の理論社の童話を2冊こぢんまりと買う。
駅前地下の珈琲館で一休み。この珈琲店はどうかするとBGMに演歌が流れてくるような地下空間だが、コーヒーを注文するとマスターは「胃でも悪いの?」と珈琲店らしからぬ応対で私を混乱させる。
そのうちカウンターの向こうから「ひとり酒場でのむ酒はア……」とマスターのつやめいた歌声が聞こえてきて国立番外地(?)を静かにうるおす。

【2011年6月11日】
小雨。西部古書会館の大均一祭。
『新聞及記者の罪悪』東日出夫(今古堂書店)
『漫文漫画風景』(島田書店)
『小田急古本掘り出し市』目録
1冊200円均一。

東日出夫「新聞及記者の罪悪」表紙
『新聞及記者の罪悪』東日出夫(今古堂書店/大正14)

東京古書会館の新興展は購入零冊。
三省堂古書館で『京成』早尾興/諸河久(カラーブックス)300円。
神田古書センター店頭で『マイ・セックス』原比露志(あまとりあ社)100円。

友人宅を訪れるついでに溝の口の明誠書房に寄道。3冊購入。
『魔法の庭』イタロ・カルヴィーノ(ちくま文庫)350円
『日本の電車』久保田博(カラーブックス)300円
『絵のない漫画』近藤日出造(鱒書房)800円
近藤日出造は好発見だった。

近藤日出造「絵のない漫画」表紙
『絵のない漫画』近藤日出造(鱒書房/1956)

【2011年6月19日】
午後、東京古書会館の新宿展。
『ラヂオドラマの作り方』林二九太(新陽社)700円
それから新宿西口古本まつり。
『ネギをうえた人』朝鮮民話選/金素雲編(岩波少年文庫)262円
それぞれ1冊ずつ購入する。

林二九太「ラヂオドラマの作り方」表紙
『ラヂオドラマの作り方』林二九太(新陽社/昭和13)

【2023年3月追記】古本日記
いずれの日記も単なるメモの域を出ていません。
もう少し書いておくことがあっただろうと、過去の自分に問いただしたいところです。
今となってはどうしようもありませんが、購入書目や購入金額を辿ってゆくと、すっかり忘れていたはずの当時の行動が朧気ながらよみがえります。
その本を買った場所(即売展の名称や古本屋の店名)、本の題名、著者名、値段。
目録ふうにそれらのメモを残しておくだけでも、後々振り返ったときに記憶を呼び覚ます手がかりになります。
その日そのときの記録としては、特に買った場所と値段が重要なようです。
どこのお店で、どのような本を幾らで買っていたかというその本の連なりは、案外と雄弁な自叙伝になってくれます。
もちろん、それに何か意味があるのかというと、たいした意味はありません。あくまで自分一人だけの満足にとどまります。
強いて言えば、古本の販売価格というものは図書館の書誌情報には決して記載されませんから、世相的な記録という意味で、それなりの価値はあるのではないか、と……。
何でもかんでも詰め込んで書きつけようと頑張ると、たちどころに日記は停滞します。
三日坊主で終わってしまうよりは、初めから簡潔に専念するほうがよいのでしょう。
だらだらと閑語を弄さなくても、購入メモだけを記しておけば古本日記は充分なのかもしれないと、思わないでもありません。