【2012年4月6日】
東京古書会館、ぐろりや会。
公文堂書店の棚にて生方敏郎『人のアラ世間のアラ』(香風閣書房/昭和9)1680円。
漫画六家撰の1冊、宍戸左行『ユーモア錠剤』が裸本で1575円。裸本でも文句はないのだが、1頁切取りが残念、見送る。
さらに下川凹天『漫画人物描法』、3150円はぎりぎりのところだが、しかしこの本は以前に買ったような買っていないような、しばらく迷って見送る(1000円で購入済みだった)。
このあいだ500円で買ったキング附録『明治大正昭和大絵巻』が4500円で出品されていた。そういうこともあるだろう。
アルカディア書房の棚では『長谷川春子小画集』が8400円、うっとりと見送る。
このあいだの西部古書会館で、棚に向かって「チクショー」と嘆いておられたご常連のお一人、本日は「ヒョータン島か、チクショー!」と嘆いておられる。ヒョータン島の何がチクショーなのか、やはり気になります。
ぐろりや会は購入1冊。
古書店街。三省堂書店の正面入口では「4月の古書市」。
ジグソーハウスの棚に、あまとりあ新書が3冊あり、『狙われた女たち』発見するも、1000円に躊躇。他の2冊『世界おんな夜話』『愛慾怪盗伝』はどちらも500円だったが、どちらも購入済み。
秋の神田古本まつりほどの規模ではないにしても、「千代田のさくらブックフェア」の一環で、靖国通り沿いの歩道には古本の露店が並んでいる。
ミロンガで一服したのち、ぶらぶらと露店をひやかし、『暮れの本屋めぐり』保昌正夫《文学館》文集(日本近代文学館/2003)200円と、『多摩川』三輪修三(有隣新書/昭和63)200円。
@ワンダーで『アナ先生のペン』押鐘篤(季節風文庫/昭和30)315円。
ボヘミアンズ・ギルドの店頭では『千代田のさくらブックフェア』合同目録を入手する(無料)。カラー図版の豪華目録で、これぞ古書と言うような逸品が満載だ。千代田区役所で開催中の即売展は、あさって、改めて訪れるつもり。
【2023年11月追記】即売展会場のつぶやき
古書会館の即売展にかぎらないことですが、古本をさがしながら独り言をつぶやくお客さんは結構いるようです。
「おお!」「よし!」と、発見のよろこびを口に出す。
「ええと……」「ううん」「どうしよう」など、迷いの心情を吐露する。
これら短い感動詞は、私なども時折思わず発します。
値段に対して「高すぎるだろう?」と抗議する人や、反対に「こんなに安いのは可哀想だ」と本に同情を寄せる人。
その本や、その著者についての蘊蓄を、淡々とおさらいしている人も見かけます(とても詳しい)。
なかには、そこにはいない誰かと明らかに会話を交わしている人もあるようです。
古本をさがすというのは、本来が寡黙な行為ですから、一見すると、誰しも無口であります。
しかし、ひとたび口を開くやじつは滅法な能弁家だったとしても、不思議はありません。
そういう話好きならば、もしかしたら独り言であっても、周囲からの反応をひそかに望んでいるのかもしれませんし、実際に、その一言をきっかけにして書物仲間に発展するなんていうこともありそうです。
内心にあふれる言葉を抑えきれずに、発語する。
たしかにそれは独り言ではあるのですけれど、見方を変えれば、他でもない自分自身との対話であると、言えないこともなさそうです。
即売展の会場で、本と一緒に、ふと聞こえてくるつぶやきを拾い集めてみるのも、また一興です。