【2012年6月1日】
東京古書会館、城南展。
二の橋書店の棚から『美術の足音今は昔』鈴木信太郎(博文館新社/昭和62)800円。内容は昭和24年刊『お祭りの太鼓』の改訂版のようである。
ぶっくす丈の棚で『都電春秋』野尻康彦(伸光社/昭和44)400円。
以上2冊。
ミロンガで珈琲を飲んで、それからぶらぶらと九段下まで。
神田古書センター店頭では文庫本が210円均一で、『爆発喧嘩社員』城戸禮(春陽文庫/昭和48/30刷)、『日本浪漫派批判序説』橋川文三(講談社文芸文庫/1998)、『先輩と私』森奈津子(徳間文庫/2011)、『きみの血を』シオドア・スタージョン(ハヤカワ文庫/2008/2刷)、『紙上世界漫画漫遊』岡本一平(旺文社文庫/昭和58)と、5冊ほど拾い集める。
店内500円均一の長島書店では『鉄道切符コレクション』澤村光一郎(ミリオン出版/2008)。こまめに訪れると面白いものにぶつかりそうな均一古書店だ。
九段下から東西線に乗って高田馬場。BIGBOX古書感謝市。
『鉄道物語』佐藤美知男(河出書房新社/2002)550円と、ここでも鉄道を1冊。
つづいて高円寺、西部古書会館のブック&A。
『アダルトグッズ大特集』今戸悠(河出文庫/2001)200円。
この1冊で帰ろうかと決めかけていると猛烈な夕立がやってくる。
雨宿りをしながら場内もう1周、『流れのままに』スーポー(白水社/昭和50)1000円を買い足す。
小降りになった頃合に四文屋へ。ガード下まで来てしまえば、あとはどんな豪雨でも平気なのだが、そうしたら次は地震がやってきた。
朝から何も口にしていないので、焼酎の最初の一口がしみわたる。じつに、しみわたります。
何だか知らぬが、たぶんオヤシラズなんだが、奥歯が疼く。
【2012年6月2日】
彩の国所沢古本まつり。
1階で『覗きの裏ワザ・禁ワザ』天城英生(河出文庫/2004)250円。
『女人千一夜』岡部寛之(あまとりあ社/昭和42)210円。
まだ持っていないあまとりあ社の新書判を見つけると、もうそれだけでうかうかと気分が出来上がってしまう。これらあまとりあ新書の一群は、おおよそ小銭で購う安上がりの人生興奮であるのだが、読み捨てられて、あぶくのように消えてゆく雑本にこそ惹きつけられるのは、私自身のどうしようもない本性の開花なんだろう。しかしながらあまとりあ、一概に侮ってはいけない奥行きは、大河内常平や朝山蜻一の存在だ。
8階本会場に上がって、いわきから参加の岡田書店にて『プロレス必殺技』森岡理右(広済堂出版=豆たぬきの本/昭和55/6刷)500円。
豆たぬきのシリーズは、怪談だとか頓智だとか、小学生の頃、面白がって何冊か買った覚えがある。捨てずにとっておけばよかったと今になって思う。
プリシアター・ポストシアターの棚で『おべんとうを考える』村上昭子(中公文庫ビジュアル版/1995)300円。食べ物の本に手が伸びるときは、そろそろ腹がへってきた証拠だ。
本日の快心は、一信堂書店で見つけた『日米混沌譚』摂津茂和(東方社/昭和29)525円。東方社は興味をそそってやまない出版社である。なお、この書物の旧籍は、麻布本村町の貸本屋、森書房。
1階と8階と合わせて、およそ4時間で計5冊。効率はよろしくないが上々の立体古本散歩だった。
【2024年1月追記】
東京古書会館の「城南展」はすでに終了しています。
2023年1月が最後の開催でした。
神保町古書店街の「長島書店」、ここ数年はすっかり御無沙汰してしまっていて、店内500円均一が今でも続いているのかどうかは不明です。
機会をつくって確認してみなければなりません。
高田馬場BIGBOXの「古書感謝市」は2013年9月で終了しました。
ほんの数年前……という印象なのですが、もう10年以上が経っています。
このところ古本市の開催が見られなくなった早稲田古書店街ですが、以前の感謝市のような、安くて楽しい本がいっぱいの、早稲田らしい古本市の再来が待ち遠しいです。
西部古書会館の「ブック&A」は現在も続く即売展です。
2023年は1年に5回の開催がありました。
ブック&Aの「A」は、アート、アンティークのAということで、毎回、骨董品やがらくたが数多く出品されます。
「彩の国所沢古本まつり」も引き続き開催されています。
1年4回。2023年12月で、第108回をかぞえます。
屋内としては国内最大級と謳うほどの広大な会場です。
なお、あまとりあ社の新書判ですが、ミステリー作家が執筆した書目になると古書価が跳ね上がるようです。
大河内常平『不思議な巷』、朝山蜻一『白昼艶夢』、楠田匡介『人肉の詩集』など、時折ショーケースの向こうに見かけることがありますが、いずれ目映い売価にひれ伏すばかりです。