【2010年3月31日/2022年12月追記】新橋古本市3日連続、『おいろけ随筆』

【2010年3月31日】
どうしてもSL広場の『おいろけ随筆』が頭を離れない。
背表紙がきれいかそうじゃないかの差が気になって、3日連続で新橋へ通う。

すでに売れてしまっていたらとんだ無駄足になるわけだが、そんなことはないだろうという、妙な確信があった。妄信というのかもしれないが。
そうなるように、きっと古本の神様は按配したのだ。神様の操るままに私は動く。

そしてSL広場、揚羽堂のテントに行くと(連れて行かれると?)、『おいろけ随筆』はそこにあった。
おととい中野で買った本を今日また新橋で買う。
この際なので同じ棚から、昨日は1000円という値段に躊躇した『せっぷん千一夜』大場正史(桃源社)も買ってしまおう。昨日は気づかなかったが、よく見れば装幀は真鍋博。

それならば、と同じく真鍋博装幀版の『あなたはタバコがやめられる』ハーバート・ブリーン(ハヤカワ・ライブラリ)もやっぱり引き取ることにして、昨日見かけたその棚へ赴くと、無事に売れ残っていてくれた。
どうせ買うのだったら昨日のうちに買っておけばよかったとは思うが、昨日買わなかったから今日があるのだとも思う。
『あなたはタバコが…』の近くにあった『蟻の生活』(現代教養文庫)は純粋な蟻の研究書のようだが、著者ジュリアン・ハクスリイはオルダス・ハクスリイの兄だということなので一緒に買ってみた。

『あなたはタバコがやめられる』を買ったあとは、SLの横でいっぷく。
みぞれ(おととい)、快晴(昨日)、花曇り(今日)。なんだかいろいろな新橋行だった。
いったい何をしているのかと自分で自分が怪しくなって、何をするつもりかと古本の神様に問うてみれば、そっぽを向いているのかどうか、そんな問いには答えてくれない。

ここまで来たので神保町に寄道。
店頭棚をぶらぶら歩いて、2冊3冊と拾い集める。
今日はほんとうは『おいろけ随筆』1冊だけのつもりだったのだが。

2010年3月31日 今日の1冊
*新橋古本市/SL広場
『あなたはタバコがやめられる』ハーバート・ブリーン/林髞訳
(ハヤカワ・ライブラリ/1963)100円

ブリーン「あなたはタバコがやめられる」再版表紙

【2022年12月追記】
今日の1冊は、当然『おいろけ随筆』なのですが、書影は一昨日の日記にすでに載せています。
(参照、夢うつつ古本日記【2010年3月29日】

ここでは『あなたはタバコが…』を選びました。
参考までに、以前に買った別版の表紙も掲げておきます。

『あなたはタバコがやめられる』ハーバート・ブリーン/木々高太郎訳
ハヤカワポケットブックス版/1956

目はラッキーストライクと灰皿、鼻はパイプ。この表紙も面白い図柄です。
初版はこちらです。昭和31年「ハヤカワポケットブックス」の1冊として刊行されました。
訳者は木々きぎ高太郎たかたろう
真鍋博装幀版は7年後の昭和38年、今度は「ハヤカワ・ライブラリ」として再刊されました。
訳者名は林髞はやしたかしに変わっていますが、木々高太郎と林髞は同一人物です。

題名に偽りなしなのかどうか、一読すればタバコがやめられるのか。
もしほんとうにやめられるのだとしたら、愉しみがひとつ減ってしまうのではないか。
それなので読んでいません。