【2011年11月5日】
西部古書会館、古書愛好会。
まず『神戸電鉄』神鉄編集委員会/小川金治(カラーブックス/昭和58)100円を手にとり、それから『小住宅設計図集』塩田樹一(鶴書房/昭和37)100円と、『おいしい漬物のつけかた』川崎甫(泰文館/昭和6)300円。
家を建てる予定はないし、漬物を漬けるつもりもないのだが、指先が反応してしまう。それを買ってどうすると言うような、まったく用を為さない実用書。そこに投影されるのは、この我が身の無用にほかならないのかもしれない。
ぶっくす丈の棚で小山内龍『昆虫放談』を見つける。築地書館、昭和53年刊行の復刻版、600円。以前、ぶっくす丈では小山内龍『昆虫たちの国』をやはり600円で手に入れた覚えがある。
もう1冊ぶっくす丈から、矢崎千代二『絵の旅から』(朝日新聞社/大正15)という大正時代の世界漫遊記。外函や本体の装幀は至って地味だが、本文には愛嬌のある素描が数多く挿入されていて、眺めるだけでも愉しめそうだ。矢崎千代二はパステル画家ということなのだが、その名前はどこかで見たことがあるような、ないような。500円。
ネルケンで珈琲。老マダムが告げるには、一昨日、11月3日が開店の記念日なのだそうで、創業から57年が経つとのこと。半世紀以上の歳月が層をなす室内で、『絵の旅から』、85年前の古本をめくる。時間の感覚がオボロになる。時間そのものさえオボロに消えて無くなりそうだ。
午後は中野ブロードウェイを巡回。
4階のまんだらけには、もうずいぶん前から『昆虫放談』の元版が陳列してある。古書価12600円ということもあって、今日になってもまだ買い手は付かない。
2階の古書うつつの店頭均一から『春の目玉』福田清人(講談社文庫/昭和51)100円。
【2023年6月追記】古書愛好会展
西部古書会館の「古書愛好会展」は毎年3回、3・6・11月に行なわれていました。
2023年に入ってからは、当初予定されていた3月の開催が取りやめとなってしまいましたが、6月24・25日の開催では、会名を「高円寺優書会」と改め、新しい即売展として再出発するとのことです。
ここ数年は毎回10店前後の参加でしたが、優書会では、従来の参加店が4店、新規参入のお店が10店と、参加店舗に大幅な入れ替えがあるようですので、会場の雰囲気は一新されるのでしょう。
古書愛好会の名称では昨年11月の第103回が最後だったということになります。
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〈関連日記〉
小山内龍
→【2010年5月21日/2022年12月追記】趣味展にて小山内龍『昆虫たちの国』