【2011年8月31日/2023年4月追記】所沢で岩谷選書

【2011年8月31日】
所沢、彩の国古本まつり、初日。
今回は探訪を見送ろうかとも思っていたのだが、当日になればもそもそと動いてしまう。
11時、会場着。
1階で『日本おみくじ紀行』島武史(ちくま文庫)300円と、『窓は敲かれず』水谷準(岩谷選書)500円。
岩谷選書の探偵小説は、物によっては随分な値段が付くのではなかっただろうか。今日見つけた水谷準の1冊は、背表紙がほとんど外れかかっていて、分解寸前のよれよれだったから、この値段で納まってくれたのかもしれない。

水谷準「窓は敲かれず」表紙
『窓は敲かれず』水谷準(岩谷選書/昭和25)

8階では『国鉄列車ダイヤ千一夜』猪口信(交通新聞社新書)105円、『丸木砂土随筆』秦豊吉(東京文庫)735円。
1階と8階と合わせて、万巻の書物の中から僅か4冊とは、相変わらずくたびれもうけの膝栗毛だが、今回はなかなか面白い買物ができた。
腰や膝に溜まった疲労をそろりとほぐしながら所沢駅へ。

秦豊吉「丸木砂土随筆」表紙
『丸木砂土随筆』秦豊吉(東京文庫/1952)

【2023年4月追記】岩谷選書
「岩谷選書」の版元である岩谷書店は、戦後、推理小説専門雑誌『宝石』を創刊した出版社です。
『宝石』の発行所は後に宝石社へと移りましたが、江戸川乱歩が経営と編集に尽力したことでも知られます。
「国会図書館」で岩谷選書を検索すると8件、「日本の古本屋」の書誌カタログでは14件が表示されます。
収録されている作家陣は、江戸川乱歩、木々高太郎、森下雨村、横溝正史など、探偵小説の実力者が連なります。
1949年から50年にかけての刊行で、そのなかでいちばん大きな巻数は、夢野久作『押絵の奇蹟』の第36巻。
少なくとも36冊があったとすると、国会図書館には結構な収蔵漏れがあることになりますが、もしかしたら未完に終わった欠番があるのかもしれず、全巻数および書目の詳細はよく判りません。
判型は新書判。カバーの無い質素な造本で、表紙のデザインはおそらく各巻共通です。
即売展などでは目にする機会の少ないシリーズだと思われますが、古書価は1000円から5000円くらいといったところでしょうか。書目や状態によって幅があるようです。

参考
*「宝石(雑誌)」/〈フリー百科事典ウィキペディア(Wikipedia)〉
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〈関連日記〉
所沢「彩の国古本まつり」については下記ご参照ください。
【2010年3月3日/2022年12月追記】彩の国古本まつり初探訪