【2011年8月7日/2023年4月追記】齋藤昌三、東郷青児、徳川夢声など、ささま書店で散財

【2011年8月7日】
西部古書会館は、ブック&Aと称する初登場の催事。
木曜から日曜まで、4日間の連続開催というのは珍しい。
今日は最終日なので、売るほうも買うほうも、会場はのどかな雰囲気である。
『赤色診療簿』なる婦人科医の随筆集をのどかに買う。昭和11年、人文書院刊。500円。
高円寺の次は高田馬場の古書感謝市。カラーブックスの『近鉄』廣田尚敬/鹿島雅美、300円と、『素木しづ作品集』(北書房)1200円。
中野へ移ってブロードウェイ巡回。これという出物にぶつからず、そろそろガード下四文屋の焼酎梅割りが目先にちらつき始める。
高円寺に戻り、まずはネルケンで珈琲。都丸支店は定休日で、庚申通り商店街の古本屋DORAMAですこし涼む。
午後3時過ぎ、四文屋へ。センマイ刺や長芋をつまみながら焼酎を呑んでいると物凄い雷雨あり。
傘を持たずにずぶ濡れで路地を走る人にはちょっと申し訳ないけれど、夕立を見物しながらの焼酎はなかなか乙なものです。最後の一杯を呑み干すころに、雨、去る。
荻窪、ささま書店。
『東京風俗志』平出鏗二郎(ちくま学芸文庫)上下2冊1050円、『書斎隨歩』齋藤昌三(書物展望社)1050円、『炉辺山話』岡茂雄(平凡社ライブラリー)525円、『六号列車の女』東郷青児(昭和書房)1575円、『啞にされた音盤』徳川夢声(アトリヱ社新版ユーモア小説全集第5巻)1575円。
好発見の続出に恵まれた勢いで、『写実と空想』古賀春江(中央公論美術出版)3150円、『ポケットから出てきたミステリー』カレル・チャペック(晶文社)840円と、有り金を使い果たす。
何をやっているんだろうと我に返るのは、店を出たあとだ。

齋藤昌三「書斎隨歩」表紙
『書斎隨歩』齋藤昌三(書物展望社/昭和19)
東郷青児「六号列車の女」表紙
『六号列車の女』東郷青児(昭和書房/昭和22)
徳川夢声「啞にされた音盤」表紙
『啞にされた音盤』徳川夢声
(アトリヱ社=新版ユーモア小説全集第5巻/昭和14)

【2023年4月追記】ブック&A/ささま書店
*徳川夢声『啞にされた音盤』は昭和14年の出版です。「啞(おし)」という用語は現代では一般的に用いられません。
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2011年8月に新しく登場した即売展「ブック&A(BOOK & A)」は、その後も継続して開催され、西部古書会館にすっかり定着しました。
1年に5回、毎回10店前後の古本屋さんが参加します。
ブック&Aの「A」とは、「アート」「アンティーク」の「A」なのだそうで、古道具、民芸品、おもちゃ、レコード、雑貨など、会場には本以外の品物もいろいろ並びます。
何が出品されるのかは当日になってみなければ分かりませんが、骨董市ではなく、あくまでも古書即売展ですから、脇役といった古道具や雑貨類は安めの値段に設定されていることが多いようです。
案外とこの「A」のほうに、掘出し物が見つかるかもしれません。
4日間の連続開催は当初はブック&Aが唯一でしたが、現在は4月の青札古本市、12月の歳末赤札古本市が、それぞれ木曜から日曜の4日開催です。
この3つの即売展に共通して参加するお店も何店かあります。
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「ささま書店」の名物は何と言っても店頭の均一棚でしたが、店内の棚も回転が早く、続々と新着本が補充されますので、足繁く通う価値がありました。
毎日でも通いたくなるようなお店でしたし、実際に、定休日以外は毎日、なんていう勤勉家も一人や二人ではなかったのかもしれません。
通っているうちには妙な具合に棚と波長が合ってしまって、次から次へと欲しい本が見つかるときがあります。
ひとたび勢いがつくと止まらなくなります。
遊戯についてはよく知りませんが、パチンコで言うところの確率変動でしょうか。そういう大当たりの状態に突入するときが、稀にではありますけれど、たしかにありました。
店内にいるときはもうのぼせていますから、後先のことは考えられません。

〈関連日記〉
ささま書店については下記ご参照ください。
【2010年12月30日/2023年3月追記】年の瀬のささま書店「この本は愉しめますよ」