【2011年7月30日/2023年4月追記】リブロ池袋本店夏の古本まつりから神奈川古書会館初探訪

【2011年7月30日】
リブロ池袋本店夏の古本まつり、初日。
9時50分、開場10分前に池袋着。一旦駅の外へ出て、道路側から西武別館の入口へ。
入場待ちの指定場所へ赴くと、艶消しの黒っぽい行列が延びている。
ただならぬ迫力に満ちているようであり、得体の知れない集団のようでもある。
歩道を往き交う通行人は皆が皆、チラッと行列に目をやり、あわてて目を逸らしていた(ように思われた)。
程なくして誘導が始まり、館内2階の会場、西武ギャラリーへ。
初日の朝一番、にわとり文庫の棚が人気の筆頭で、渋い装幀の冒険・SF・探偵小説を、渋い面構えの人たちが矢継ぎ早に引き抜く。どんどん捌けてゆく。
わざわざその人だかりに首を突っこまなくても『北村小松集』や『乾信一郎集』は、さっきから誰も手を触れていない様子であるし、後でゆっくり取りに来ても間に合いそうなものなのだが、つい躍起になってじたばたもがく。
松本泰の随筆集『炉辺と樹蔭』は魅力だった。昭和15年、岡倉書房刊。しかし8400円……。しばらく撫でさすって、ふたたびの縁はありやなしや、棚に返す。
東成社版ユーモア文庫の1冊『お母ちゃん』田中早苗と、朝日文化手帖の『誰にも言えない』大下宇陀児を加え、結局はこの序盤のにわとり文庫からの収穫が購入のほとんどとなる。
古書英二の棚では、清水崑の随筆集『月は東に日は西に』が嬉しい発見だった。

購入メモ
*リブロ池袋本店夏の古本まつり/池袋
『北村小松集』現代ユーモア文学全集第13巻(駿河台書房)525円
『乾信一郎集』現代ユーモア文学全集第12巻(駿河台書房)525円
『お母ちゃん』日吉早苗(東成社ユーモア文庫)1050円
『誰にも言えない』大下宇陀児(朝日文化手帖)1575円
『月は東に日は西に』清水崑(創元社)1050円

「北村小松集」表紙
『北村小松集』現代ユーモア文学全集第13巻
(駿河台書房/1953)
清水崑「月は東に日は西に」表紙
『月は東に日は西に』清水崑(創元社/1952)

山手線と東急東横線を乗り継いで反町へ遠征。神奈川古書会館を初めて訪れる。
電車を降り、プラットホームの駅名標を見て、「そりまち」ではなく「たんまち」と読むことを知る。
反町の駅前風景は、すぐ目の前を国道1号線が走ってはいるものの、横浜のひとつ隣りとは思えぬほどにのんびりしていた。駅から5分ばかり歩けば、木々の繁る広い公園に接して、古書会館は陽炎のように佇んでいた。
建物は四角い3階建てだったが、道路に面したガレージのみを使って即売展(反町古書まつり)は催されている。
先客は4、5人。
通路に据えた大型の扇風機が生ぬるい空気を掻きまわし、帳場に座るご主人たちの雑談と、ふと書架を離れて振り向けば、公園の青葉の蔭、その梢の先に天高く入道雲……。
古本はやっぱりこうでなくては、と言いたくなるような、物憂い真夏の午後なのだ。
横田順彌『古書狩り』から始まって4冊。最後に見つけた旅窓新書の『旦那放談』石黒敬七が軽快な句点となった。

*反町古書まつり/神奈川県古書会館
『古書狩り』横田順彌(ちくま文庫)300円
『百貨店の誕生』初田亨(ちくま学芸文庫)525円
『ドキュメンタリー写真』長野重一(現代カメラ新書)300円
『旦那放談』石黒敬七(旅窓新書)200円

横田順彌「古書狩り」表紙
『古書狩り』横田順彌(ちくま文庫/2000)
石黒敬七「旦那放談」表紙
『旦那放談』石黒敬七(旅窓新書/1955)

【2023年4月追記】
西武池袋本店別館2階の西武ギャラリーで行なわれる古本まつりは、リブロから三省堂書店へと主催が変わり、その後も継続して開催されています。
毎年、2月(例年は2月でしたが2023年は1月)と8月(もしくは7月)の年2回です。
「三省堂書店池袋本店古本まつり」としては、2023年1月で第15回となりました。
書籍だけでなく、映画のパンフレットやポスター、浮世絵、絵葉書、切符、チラシ等々、広い会場に、毎回約10万点の品々が勢揃いします。

〈関連日記〉
リブロ池袋本店古本まつり
【2010年2月16日/2022年12月追記】リブロ池袋本店春の古本まつりから、中野ブロードウェイなど  
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「神奈川古書会館」の即売展は、ほぼ月1回、定期的に開かれます。
大きな公園に隣接しているという立地も手伝って、東京の古書会館とは一味違った雰囲気で古本散歩を愉しめます。
神奈川古書会館への行き方や即売展の日程などは、以下の記事をご参照ください。

神奈川古書会館の古書即売展へ行ってみよう(反町)