【2012年2月12日】
東京古書会館、新宿展。
青聲社(初参加のお店だろうか)の棚に、駿河台書房版の現代ユーモア文学全集が何冊か並んでおり、北町一郎、南達彦、摂津茂和の3冊を取る。
ブックス・アルトから福田蘭童『新日本膝栗毛』(創元社/昭和27)800円。
立石書店では薄手の冊子類を投げ入れた籠の中から『衛生宝鑑長寿の宝』なる8ページのパンフレット――またまた〈食ひ合はせ〉の出現だ。表紙には栄養研究会編と記してあるが、奥付を見ると、著作、発行、印刷、すべて木村茂一郎という人物が兼ねている。大正13年に初版が発行されて、この一部は昭和2年の第7版。順調に版を重ねていると言えるだろう。発行所は帝国薬草研究会、価格400円。
会場を一巡したのち、ふたたび青聲社に戻って『夢のハイキング』磯部晋(経済知識社/昭和10)2000円。耳鼻咽喉科のお医者さんによる、古今東西の夢の、つれづれな蒐集録らしい。装幀と挿絵も著者の磯部先生が自ら手掛けている。蜘蛛の巣らしき模様に、平仮名の「ゆ」と「め」とを散りばめた一寸へんてこりんな表紙の絵は、そう言えば以前にもどこかで見掛けたことがあると、ここで思い出した。
最後にキクヤ書店の棚から『カップ酒スタイル』いいざわ・たつや(ちくま文庫/2006)210円。
さて、手に持った現代ユーモア文学全集を改めて眺めれば、『南達彦集』と『摂津茂和集』はすでに持っているような気がしてきた。函から取り出してページを繰りながら、そんなことをして思い出せるはずもないのだが、どうだったかと悪あがきを試みるうちに、『北町一郎集』まで持っているように思えてきた。持っているのは北町一郎ではなく北村小松だったはずなのだが……。南達彦と摂津茂和の2冊は返却し『北町一郎集』(駿河台書房現代ユーモア文学全集第14巻/昭和28)のみ購入する、400円(帰宅後の答……3冊とも持っていなかった)。
ミロンガで珈琲を飲んだあとは古書モールとかんたんむを巡回して、それから高円寺へ移動。
ガード下の四文屋にて煮込みと焼酎ときて、それから連日の西部古書会館、大均一祭を覗く。今日は100円均一。あと1時間で終了だが、まだ結構な賑わいだ。今日は買物ナシ。
【2023年8月追記】駿河台書房「現代ユーモア文学全集」
「現代ユーモア文学全集」は1953年(昭和28)から翌1954年(昭和29)にかけて、全22巻が刊行されました。
第1巻『佐々木邦集』から始まって、中野実、徳川夢声、摂津茂和、源氏鶏太……と、戦前から活躍を続けるユーモア作家の総ざらいと言えるような全集です。
佐々木邦と中野実は正続2巻。その他の作者は一人につき1巻です。
第20巻のみは作家20名の作品を集めた『コント名作集』となっています。
即売展では割合によく見かける全集で、状態、帯や月報の有無などにこだわらなければ、函付でも1000円以下で見つかることは珍しくないはずです。金額だけで言えば、第11巻『橘外男集』が難関ということになるでしょうか。
装幀は画家の鈴木信太郎が担当しています。外函の意匠は各巻で共通ですので、5冊6冊と買い集めてゆくうちに、どの巻を持っているのか見分けがつかなくなってくるのは困ったところです。
この日、(もう持っていると勘違いして)買いそびれた『南達彦集』と『摂津茂和集』は、その後、無事に買い求めたように憶えておりますが、未だに買い漏らしている巻が結構あるはずです。
◇
〈関連日記〉
日記のなかに「食ひ合はせ」と出てきますが、「鰻と梅干」「天麩羅と西瓜」など、一緒に食べるのは避けたほうがよい食べ物の組み合わせです。
「食ひ合はせ」につきましては下記ご参照ください。
→【2011年9月23日/2023年5月追記】紙魚之会と五反田遊古会