【2012年4月13日】
西武新宿線本川越駅前、ペペ古本まつり。
駅前広場に10張りほどの天幕が並ぶ。
参加店は、球陽書房、久保書店、利根川古書店、佐藤藝古堂など。
すぐ横のバス停からは、行楽客を満載した周遊バスが名所旧跡に向かって出発するのであるが、古本の一帯はのどかに徹すると言った風情でお客さんはちらほら。
平台に置かれた『少女倶楽部』の表紙を、春の風がはたはた、と。
1時間余で一巡して、購入零冊に終わる。
信号を渡ってクレアモール商店街。
『ミステリーファンのための古書店ガイド』には、この商店街に、雄文堂、ブックブック、ほんだらけ、と3軒の記載がある。
散る花のように、3軒とも消え去っていた。
特に、「本の量はとにかく厖大」だというほんだらけは愉しみにしていたのだがザンネン。
かろうじて、ふる1、という『古書店ガイド』には載っていなかったお店が営業していた。
白くて明るい店内。文庫と漫画が中心。何も見つけ出せずに終わる。
本川越駅に戻って、次は中央通りを北に進んで希林堂書店を訪ねるも、道路拡張の準備で家屋が撤去されていた辺り、古本の残り香を嗅いだ(ような気がした)。
この通りをさらに進めば、蔵造りの町並みに行き当たるようであったが、古い町並みよりも古い本を散策したい。
また駅前に戻って、もういちどペペ古本まつりをうろうろする。
本日も収穫なしのオケラなり。
西武電車オケラ号に乗り込んで帰途に就く。
霞む空の向こうに見えるのは、あれは秩父連山だろうか。あくび。
【2023年11月追記】野村宏平『ミステリーファンのための古書店ガイド』
『ミステリーファンのための古書店ガイド』は光文社文庫より2005年に刊行されました。
著者は野村宏平氏です。
北海道から沖縄まで、全国47都道府県を網羅した古書店ガイド。
組合加盟店にかぎらず、独立店、ブックオフ、貸本屋など、様々な形態の古本屋さんが、細大漏らさずという感じで紹介されます。
題名にはミステリーファンとありますが、ミステリーに特化しているわけではありません。
広く古本好きの愛用に応える内容となっています。
すべて野村氏が実際に探訪した古本屋さんです。
ほんとうに津々浦々。これだけの古本行脚を個人で成し遂げるのですから、びっくりです。偉業です。
私がこの本を購入したのは、川越を歩いた日の1週間前。
何とも遅ればせながらの入手だったのですが、それでも『古書店ガイド』を携えて、張り切って川越散歩を試みました。結果は上述のとおり、ガイドを見て訪れた4軒、すべて閉店していました。
刊行の7年後ですから、こればっかりは致し方ありません。
同書の川越のページにはあと2軒、「コミックランドたかはし書房」と「ブックオフ本川越店」の記載があります。なぜこの2軒は探訪しなかったのか、とくに本川越駅に近いブックオフをなぜ省略してしまったのか、当時の心境を思い出せません。
さらに月日は流れ、はや刊行から18年が経ちます。
もちろん現存するお店はありますが、その後閉店となったお店も多いはずで、実用書としての役目はひとまず終えたと言えるでしょう。
改訂版が刊行されたとしたら、大いに喜びます。
しかし今や、インターネットが古本屋を教えてくれて道案内までしてくれますし、また近年は、いよいよ移り変わりの目まぐるしい古本業界ですから、書籍での情報提供ではどうにも追いつかないのも無理はありません。
一昔前までは古本巡りの必携書であった『全国古本屋地図』(日本古書通信社)も、2001年の『21世紀版』を最後に、刊行は途絶えています。
時代の流れはいつも急流ですけれど、それでも『ミステリーファンのための古書店ガイド』は決して無用の書ではないと思います。
資料としての価値は無論のこと、古本屋紀行の読み物としても、十二分に愉しめます。
まだ行ったことのない古本屋、もう行くことのできない古本屋、ガイドをめくりながら、それらのお店を頭の中で訪ね歩けば、夜の更けるのを忘れます。
その魅力はまったく色褪せません。
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「ペペ古本まつり」は現在も定期的に開催されています。
2023年は4月と11月(13日~21日まで開催中)の2回。息の長い古本まつりです。
古本屋さんが少ない地域での、頼もしい催し物です。
下記、合わせてご参照ください。
〈関連記事〉
西武本川越ペペ古本まつり
→【古本まつり】かけあしガイド(神奈川・埼玉・千葉・茨城)
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「ブックオフ本川越店」、現在も営業。
日記に「ふる1」とあるのは「ふるいち川越クレアモール店」です。1号店(本・ゲーム)と2号店(トレカなど)が隣接。現在も営業しています。