【2012年4月16日・19日・20日・21日・22日・23日/2023年11月追記】春の古本右往左往

【2012年4月16日】
本の散歩展より、このあいだ申し込んでおいた目録が届く。
先月の五反田遊古会目録では、月の輪書林のページに天誠書林店主・和久田誠男氏逝去の報が載っていたのだが、今回の散歩展目録の巻頭に、和久田氏の追悼文が掲載されていた。古書りぶる・りべろの川口秀彦氏が執筆している。
「嗚呼!! 天誠さん」という題名は、恰度1年前の散歩展目録で和久田氏が田村治芳氏を追悼した文章「嗚呼!! なないろさん」をそのまま受け継いでおり、その題を見ただけで、ちょっとじーん・・・ときた。
それにつづく目録の1ページ目には、月の輪書林が追悼小特集を組んで、和久田氏にちなむ雑誌や資料を出品している。

【2012年4月19日】
先日から古本の整理に取り掛かったのだが、やはり無謀だった。
そもそも、斜めに傾いた本の塔を、まっすぐ積み直したからと言って、それを整理と言うのかどうか疑問である。

【2012年4月20日】
東京古書会館、書窓展。
小絲源太郎随筆集『猿と話をする男』(筑摩書房/昭和27)300円。
木内高音『やんちゃオートバイ』(中央公論社=ともだち文庫/昭和24)400円。未知の童話作家だが、装幀が横井福次郎なので買ってみる。
鍋井克之随筆集『和服の人』(書物展望社/昭和9)、函欠の裸本ながら500円は有難い。
それから奥野他見男の小型本をちょこまかと3冊ほど拾い集める。
『おなかの逆立ち』(泰山房/大正5)700円、『先生様と生徒』(東文堂/大正6/14版)300円、『女学校出の花嫁さん』(磯部甲陽堂/大正13/100版)300円。
以上、あきつ書店の棚より。
かわほり堂から美川徳之助『パリの穴東京の穴』(第二書房/昭和38)400円。
ミロンガで珈琲を飲み、山陽堂書店まで店頭棚をぶらぶら。途中、岩波ブックセンターで『日本古書通信』2012年4月号、八木福次郎追悼号、購入する。700円。

小絲源太郎「猿と話をする男」表紙
『猿と話をする男』小絲源太郎(筑摩書房/昭和27)
木内高音「やんちゃオートバイ」表紙
『やんちゃオートバイ』木内高音
(中央公論社=ともだち文庫/昭和24)
鍋井克之「和服の人」表紙
『和服の人』鍋井克之(書物展望社/昭和9)
奥野他見男「おなかの逆立ち」表紙
『おなかの逆立ち』奥野他見男
(泰山房/大正5)
奥野他見男「先生様と生徒」表紙
『先生様と生徒』奥野他見男
(東文堂/大正6/14版)
奥野他見男「女学校出の花嫁さん」表紙
『女学校出の花嫁さん』奥野他見男
(磯部甲陽堂/大正13/100版)
美川徳之助「パリの穴東京の穴」表紙
『パリの穴東京の穴』美川徳之助
(第二書房/昭和38)
「日本古書通信」2012年4月号表紙
『日本古書通信』2012年4月号(日本古書通信社)

【2012年4月21日】
五反田、南部古書会館。本の散歩展。
2日目の会場は、朝一番から凪いでいる。書架の隙間も凪いでいる。
オケラになりかかったのだが、『山之口獏全集』第1巻/全詩集(思潮社/昭和50)がぽつねんとたたずんでいたので引き取る。2000円。持っているのは第3巻か第4巻のどちらかで第1巻は持っていないはずだが持っているかもしれない。正午まで。

「山之口獏全集」第一巻表紙
『山之口獏全集』第一巻/全詩集
(思潮社/昭和50)

午後は池袋西口公園古本まつり。
曇天で風が肌寒い。
チラシには「46店50万冊」と謳っているが、その50万冊の背表紙が寒い。
2時間で一周して『六浦光雄作品集』(朝日新聞社/昭和48)1050円、1冊のみ購入。

「第15回池袋西口公園古本まつり」チラシ
《第15回池袋西口公園古本まつり》チラシ

高円寺に移動して、ガード下の四文屋。焼酎と煮込みにて凝り固まった肉体をほぐす。
荻窪、ささま書店に寄ると、さっき買ったばかりの『六浦光雄作品集』が同額の1050円で、状態はこちらのほうが良い。そうであったか。

【2012年4月22日】
東京古書会館、新宿展。
ぶっくす丈の棚にて東郷青児の新書判『随筆いろざんげ』(河出新書/昭和31)150円。
青聲社の棚で、藻岩三麓『D51保線野郎』(北書房/昭和47)300円。
さとし書房の棚で見つけた平山蘆江情話集『五月雨日記』(平凡社/昭和5)。題名からして時代小説かと思ったら、「妖怪カフエ」なんていう一篇も収録されており、面白そうなので購入。800円。
伊東深水『美人画の描き方』(崇文堂出版部/昭和17/訂正8版)400円を付け足して計4冊。

東郷青児「随筆いろざんげ」表紙
『随筆いろざんげ』東郷青児(河出新書/昭和31)
平山蘆江「五月雨日記」表紙
『五月雨日記』平山蘆江(平凡社/昭和5)

【2012年4月23日】
知り合いのお供をして、恵比寿のデザイン会社を訪問する。
応接室と云うのか会議室と云うのか、壁面の書棚に雑誌『アイデア』がずらりと並んでいて、おお、第321号発見。特集〈ヤン・チヒョルトの仕事〉これ探していたのだ。
しかしここはデザイン会社であって古本屋ではないから、幾らですかと訊けない無念。
しかし白い背表紙が多い『アイデア』のなかにあって、この321号は栗色の背表紙だった。探すときの目安になる。

【2023年11月追記】
田村治芳氏の追悼文を寄稿した和久田誠男氏。
その1年後、和久田誠男氏の追悼文を寄稿した川口秀彦氏。
散歩展目録巻頭の追悼文につきましては以下の日記の追記欄をご参照ください。

〈関連日記〉
本の散歩展目録の追悼文
【2011年4月15日/2023年3月追記】本の散歩展からフリーダム展

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「岩波ブックセンター信山社」は2012年11月に閉店。
2018年4月からは「神保町ブックセンター」として営業しています。
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「池袋西口公園古本まつり」は2018年9月の第28回を最後に、以降は開催がありません。
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東京古書会館の「新宿展」は2016年12月の開催をもって終了しています。
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『アイデア』321号(誠文堂新光社/2007)は高値安定の1冊です。未だ入手に至りません。