【2012年8月30日】
浦和へ行き、埼玉県立近代美術館〈ウルトラマン・アート!〉と、うらわ美術館〈ブラティスラヴァ世界絵本原画展〉を見る。
ウルトラ展は、ウルトラマンとウルトラセブンの世界を展示。メトロン星人のアパートの一室が再現されており感激する。
成田亨、池谷仙克、高山良策、この3氏による怪獣デザイン画はやはり美しい。キングジョーの造形美にも改めて惚れぼれとした。
今や、美術としても取り上げられるようになったウルトラマンだが、文芸作品としてもそろそろ、金城哲夫脚本集が、ちくま文庫か講談社文芸文庫あたりに収録されるとうれしいのだがなあ――朝日ソノラマの刊行だったか、ウルトラマン脚本集が古書目録に載っていたことがあるけれど、気安く買えるような値段ではなかった――。
図録(2100円)が完売だったのは残念。
うらわ美術館のブラティスラヴァ展は、多彩な絵本の原画は愉しかったのだが、いちばん眼を見張ったのは、特別展示として陳列されていた日本の仕掛け絵本のなかの『龍角散変り絵本』で、作者は多田北烏。宇都宮美術館の『多田北烏展』図録には掲載されていなかったはずの絵本だ。
昭和6年、藤井得三郎商店刊行。文庫本ほどの判型の豆絵本、龍角散の宣伝として配られたものなのだろうか。こんな本もあったのだな。欲しいなあ!
美術館の近くに酒井甚四郎商店という老舗の漬物屋があり、奈良漬と浦和漬を買う。
行きがけに見かけた商店街の古本屋、武蔵野書店に立ち寄り、『江戸のまんが』清水勲(講談社学術文庫/2003)440円、『ちょぷらん島漂流記』西川満(中公文庫/昭和61)220円、購入する。
【2012年8月31日】
東京古書会館、愛書会。
高尾文雅堂の棚より『好色大学開講す』丸尾長顕/岩佐東一郎/武野藤介(第二書房/昭和36)500円。購入1冊。
古書店街、小宮山書店ガレージセールにて、こどものとも1990年10月号『でんしゃがまいります』秋山とも子(福音館書店)100円を買い求め、近くのミロンガで珈琲を飲みつつ、さっそくめくってみる。
新宿駅5・6番線ホームの一日の光景が、細部に至るまで描き込まれてあって見応えがある。
オレンジ色の中央線がまだ現役で、そのほかにも甲府行きの普通電車(青とクリーム色の横須賀色)が入線したり、上諏訪行きの夜行列車が運行されていたり、鉄道資料としても貴重な絵本かもしれない。
澤口書店店頭、『明治・大正のジャーナリズム』桂敬一(岩波ブックレット/1992)100円。
日本特価書籍で折返し、ずーッと戻って三省堂書店神保町本店。
八階の古書市、と云う名称そのままの、8階特設会場での古書市。
『ぶっちゃけ蒼井そら』蒼井そら(ベスト新書/2009)300円を買ったら、何かスイッチが入ったのかどうか、2階の新書売場に降りて『女のコが本当にしてほしいセックス』麻美ゆま(ベスト新書/2009/3刷)780円、『焦らしセックス』希志あいの(ベスト新書/2009)780円。
ベスト新書のセックス・シリーズを2冊、新刊で買い足す。
【2024年6月追記】
金城哲夫【きんじょう・てつお、1938(昭和13)-1976(昭和51)】が手掛けたウルトラマンの脚本は、以下の書籍に収録されています。
・『ノンマルトの使者』金城哲夫シナリオ傑作集(朝日ソノラマ=宇宙船文庫/1984)
・『宇宙からの贈りもの』金城哲夫シナリオ名作集(朝日ソノラマ/1985)
いずれとも刊行から約40年が過ぎ、現在なお結構な古書価が付きます。
上記2冊を改題し、再編集した『ウルトラマンシリーズ金城哲夫シナリオコレクション』1・2(復刊ドットコム/2016・17)も刊行されましたが、手軽に入手できるというところではないようです。
文庫本で読める金城氏の著書としては、ちくま文庫に『小説ウルトラマン』(2002)があります。
元版は『怪獣大全集3怪獣絵物語ウルトラマン』(ノーベル書房/1967)です。
ちくま文庫版には「ウルトラセブン」の脚本が併録されていますが、4話(第1・42・48・49話)だけにとどまります。
文庫版『金城哲夫シナリオ全集』の実現を、ちくま文庫か講談社文芸文庫、あるいはハヤカワ文庫もしくは創元推理文庫、大穴で岩波文庫……、引き続き祈ることにしましょう。
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〈ブラティスラヴァ世界絵本原画展〉でうっとり眺めた『龍角散変り絵本』の作者、多田北烏につきましては下記ご参照ください。
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浦和の「武蔵野書店」は2020年3月31日で閉店となりました。
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「三省堂書店神保町本店」では定期的に古書市が開かれていました。
旧本店ビルは現在建替え中(2026年頃竣工予定)。
小川町仮店舗での古書市は開催されていません。
新店舗完成の暁には古書市が戻ってきてくれるのかどうか、今から気掛かりです。