【2012年9月30日/2024年10月追記】浦和うろうろ

【2012年9月30日】
ぐろりや会の目録を眺めながら浦和へ出掛ける。
浦和宿古本いち、会場へ行ってみると台風接近のため次週に延期とのこと。あら。
携えてきた『全国古本屋地図』をひろげて駅周辺の古本屋を巡る。
金木書店は大正時代から続く老舗なのだそうである。東京古書会館の即売展にも参加しており、以前、岩佐東一郎『くりくり坊主』を買ったことのあるお店なので期待は大。
実際、店頭棚にベン・シャーン『ある絵の伝記』が並んでいたり、店内も何か飛び出してきそうな気配にあふれていたのだが、何も買えなかったのは残念至極。こまめに通いたくなるような書架だった。

中山道を南に歩く。次は利根川書店
『全国古本屋地図』には利根川書店と記載されているが、最近は利根川古書専門店という名前で、所沢など各地の古本市では御馴染みのお店だ。
店内、店舗と云うよりは倉庫、倉庫と云うよりは原生林か。床からにょきにょきと古本が繁茂している。
奥へ奥へと分け入ると、一箇所だけすっきり片づいた棚があって『奇譚クラブ』やフランス書院文庫が並んでいた。そこから先はいよいよ鬱蒼として行く手をさえぎる。

駅前に戻り、セブンビル1階の弘文堂書店を探す。見当たらず。
ビル外壁の共有看板に、その屋号だけが碑銘のように――。
8月に立ち寄った武蔵野書店を再訪。
『からすのカーさんへびたいじ』オールダス・ハクスリー=文/バーバラ・クーニー=画(冨山房/1992/2刷)300円、絵本を1冊だけ買う。

線路をくぐって東口へ。
文推堂書店、見当たらず。
電車に乗って北浦和。
プラットホームから偵察すると、野出書店、今日はオヤスミの様子。
そのまま反対の電車に乗り、帰途に就く。
南の方角から雲の塊りが流れてくる。

【2024年10月追記】浦和その後
古本市1か所と古本屋6店舗を探訪したうち、古本市は延期、2店舗は既に閉店、1店舗は休業。
購入は絵本1冊。
だいぶん冴えない古本散歩です。
こういう日もあります。

「浦和宿古本いち」は現在も続いています。
初開催から40年以上が経つという息のながい古本市です。
テントを使わない完全な露店市ですので、雨が降ったり、降りそうだったりすると中止になるのは已むを得ません。暑い盛りはお休みです。
2024年は7、8月を除く各月に開催されます。

中山道なかせんどうに面した老舗「金木書店」は2023年3月31日に店舗閉店となりました。
名店がお店を畳むのは淋しいかぎりですが、インターネット販売や古本まつりへの参加は継続されています。
たしか浦和宿古本いちの参加店のひとつではなかったでしょうか?……(きちんと調べ切れていません、済みません)。
2019年までは東京古書会館の下町書友会にも参加していました。

同じく旧中山道沿いの「利根川古書専門店」はどうなのでしょう。
現存しているようでもあるのですが、営業の日時など詳らかにしません。
2012年当時で既に店内は倉庫の様相でした。
10余年を経てどのような変化が見られるのか、たいへん気になりますし、是非ともこの目で確かめたいと思いつつ、再訪を果たしません。
店売りよりも催事参加が中心なのかもしれません。

ショッピングセンター浦和コルソの裏手に建つセブンビルの1階に「弘文堂書店」があったそうですが、探訪当時、外看板だけを残してもはや跡形なしでした。
そこから程近い駅前商店街にあった「武蔵野書店」は2020年3月31日に閉店しています。
東口の「文推堂書店」も探訪はしたものの既に無く、10年以上前に刊行された『全国古本屋地図』を頼りに歩くとこういう結果を招きます。
弘文堂と文推堂の閉店時期は判りません。

浦和の隣り、北浦和の「野出書店」は、後日改めての探訪を果たしました。
その後、閉店となったようです。こちらも時期は不詳です。

浦和うろうろから時を経た或る日、新橋古本まつりで弘文堂書店のマッチ箱を買い求めました。
探訪の叶わなかった古本屋さんの、せめてもの記念として、ここに掲げておきます。

「弘文堂書店」マッチ箱
《弘文堂書店》マッチ箱

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浦和宿古本いちの日程などにつきましては下記をご参照ください。
【古本まつり】かけあしガイド(神奈川・埼玉・千葉・茨城)